スコットランドに住むある男性はがんを見事克服したが、化学療法の影響で頭髪が全て抜け落ちてしまい、そのまま生えてくることはなかった。そこで少しでも髪の毛があるように見せるため、思い切って頭にヘアタトゥーを入れることにした。
しかし対応した彫師の腕が良くなかったのか、ヘアタトゥーは変色して男性の頭部はまるで青いヘルメットを被ったような状態になってしまった。『Daily Record』『The Sun』などが伝えている。

スコットランド・ハートヒル在住のマーカス・ミラーさん(Marcus Miller、48)は、3年前に精巣がんが見つかった。2児の父親でもあるマーカスさんは、生きるために抗がん剤による化学療法を受けていたが、その副作用によって頭髪が全て抜け落ちてしまった。

のちにがんは克服できたものの、髪を失ったことで自尊心は傷つき、うつ病との闘いを余儀なくされた。悩み抜いたマーカスさんは、ヘアタトゥーを彫り入れることを決意した。
このヘアタトゥーとは、薄毛や抜け毛で悩んでいる人の頭皮にタトゥーで毛根から毛が生えているように見せる方法である。

マーカスさんは彫師のジェン・ワトキンス氏(Jen Watkins)のもとを訪ねたところ、ジェン氏はマーカスさんの切実な思いに応えると誓ったようだ。しかし仕上がったヘアタトゥーは、マーカスさんがイメージしていたものとは程遠い仕上がりだった。

ヘアタトゥーを施したマーカスさんの頭はまるで青黒いヘルメットを被ったような状態で、ジェン氏はご丁寧にもイニシャルまで入れたという。マーカスさんは施術代250ポンド(約35000円)を支払ったものの、その後は恥ずかしくて外を出歩くことすらできなくなってしまったのだ。

マーカスさんは、屈辱的な思いをこのように語っている。


「すべてが悪夢のようでした。がんと闘った末に髪が抜け落ち、その上ひどいタトゥーに悩まされることになってしまったんです。とても落ち込みました。この青い頭が気になって、どこへ行くにも帽子なしでは外出できないのです。」

「友人らの葬儀ではスコットランドの伝統的なウールの帽子を被らなければならなかったのですが、それもまた恥ずかしかった。」

またマーカスさんは、ヘアタトゥーを隠すために過去2年間でかつらを2つ購入。その費用は1500ポンド(約21万円)にも及んだという。一方でマーカスさんは、ヘアタトゥーの施術前に「インクが変色する場合があることを理解したうえで施術に同意する」といった書面にサインをしていたため、ジェン氏にクレームを入れることはしなかったそうだ。


そんなマーカスさんに、救いの手が差し伸べられた。今年初めにタトゥーのレーザー除去を行っている「Laser Tattoo Removal Scotland」のスティービー・バリーさん(Stevie Barry)に出会い、ヘアタトゥーの除去を無料で行うと申し出てくれたのだ。

スティービーさんは「マーカスさんの話を聞いた時、彼の助けになるためするべきことは分かっていました。ずっと苦痛を味わってきた彼に、私の力が必要だと思ったのです。マーカスさんのヘアタトゥーはこれまで見た中でもひどいものでした」と明かしている。

さらにスティービーさんは、マーカスさんが再度ヘアタトゥーの施術を受けるときのために医療ヘアタトゥーの「スカルプマイクロピグメンテーション」を専門に扱う「Skulltec」という評判の高いクリニックを紹介した。


ちなみにマーカスさんにヘアタトゥーを施したジェン氏は、慢性疾患を理由にすでに彫師を引退しており、マーカスさんの件について話し合いの場を持つことを拒否しているという。

画像は『The Sun 2019年11月12日付「‘TOTAL NIGHTMARE’ Cancer survivor left with permanent blue scalp after ‘botched’ £250 fake hair tattoo」(Credit: Mirrorpix)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)