ハーパー・フォイちゃんは2015年9月20日、ワシントン州カークランドの病院で予定日よりも1か月早く誕生した。第3子の誕生を心待ちにしていたケヴィンさんとアンジーさん(43)夫妻だが、ハーパーちゃんが産まれてから「道化師様魚鱗癬」という先天性の難病を抱えていることを知った。
アンジーさんは「医師が夫に『もうすぐ出てくるよ。
「何かとんでもないことが起こったと思い、気が気ではありませんでした。医師に『どうかしたの?』と何度も尋ね、『赤ちゃんが死んでしまうのではないか』と不安がよぎりました。」
ハーパーちゃんは道化師様魚鱗癬という皮膚のバリア機能が障害される先天性の疾患を持っており、出生時は全身がクリーム色の厚い板状の角質に覆われていた。瞼や唇がめくりあがり、皮膚に亀裂が入ったハーパーちゃんは呼吸をするのもやっとで、すぐに設備が整ったシアトル子供病院に搬送されて治療が開始された。
保育器に入れられたハーパーちゃんを抱くことも、授乳することもできなかったアンジーさんは「この病気の赤ちゃんは誕生後数日で死んでしまうこともあると聞いて、恐ろしくてたまりませんでした。
それでもなんとか持ち直したハーパーちゃんだが、日々のケアは決して楽ではない。ハーパーちゃんの皮膚はすぐに硬くなり身体の動きが制限されるため、1時間毎に保湿剤を塗らなければならない。約400グラム入りの保湿剤を2日で2~3個使い切ってしまうほどで、皮膚を清潔に保つために一日に4回、マイクロバブルバスという特別な泡風呂に入る。体温調節ができず感染症にもかかりやすいため、自宅で仕事をする夫妻は24時間体制でハーパーちゃんのケアをする。そんな夫妻にとって心が痛むのは外出する時で、ハーパーちゃんの赤く火傷の痕のような皮膚をジロジロ見る人や、感染するのではないかと怖がって逃げていく人もいるそうだ。
アンジーさんはハーパーちゃんの皮膚をヘビにたとえ、「この病気を知らない人には『ハーパーは新しい皮膚が次々と作られるのよ。まるでヘビが脱皮をするようにね』と説明するの」と語り、次のように明かした。
「ハーパーは血流が悪く、すでに手指の先を失っています。皮膚が乾燥すると硬くなりボロボロと剥がれ落ちるので、人一倍ケアが必要です。でもあの子はファイター。様々な困難を乗り越えてきたのです。
実はハーパーちゃん、「TCM」というシアトルのモデル会社と2年間の契約を交わしたばかりで、それを記念してシアトル子供病院から初めてのフォトシュートを依頼され、モデルデビューを果たしている。
アンジーさんは、新たな一歩を踏み出したハーパーちゃんについてこう語った。
「ハーパーはまだ、他の人と自分が違うことについてしっかりとわかってはいないようです。でも5歳になって幼稚園に通うようになったら、違いについて認識するでしょう。ハーパーには『あなたは内も外も美しい』ということをわかってもらいたいのです。
画像は『Harper Ly Foy 2020年2月15日付Instagram「Happy Valentine’s Day!」、2019年11月22日付Instagram』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)