米オクラホマ州の児童養護施設に3歳から入所している9歳の少年が今月11日、地元メディア『KFOR.com』に登場し「家族を持つことが唯一の願い」と訴えたところ、2日間で5千件の養子縁組のオファーがあった。少年の切なる訴えに、多くの人が心を動かされた結果だった。


米オクラホマ州在住の9歳のジョーダン君は、3歳の時から児童養護施設で暮らしてきた。ジョーダン君には別の施設に入所した弟のブレンゾン君がおり、時折会っては料理をしたり空手ごっこで遊んだが、1年前に養子縁組が成立すると疎遠になってしまった。

そんなジョーダン君が今月11日、地元メディア『KFOR.com』に登場し切ない胸のうちを明かした。インタビューは次のとおりである。

リポーター「世界中のどこにでも行けるとしたら、どこに行きたい?」
ジョーダン君「養子になったことを祝うパーティだよ。」

リポーター「3つの願いが叶うとしたら、何を望む?」
ジョーダン君「家族、家族、家族を持つことだよ。それが僕の唯一の願いさ。
父さん、母さん、または父さんだけ、母さんだけでもいい。そんなことよりもマカロニ&チーズ(マカロニにチーズを絡めた料理)を一緒に食べる家族が欲しいんだ。自転車に一緒に乗ったりね。でも一番大切なのは、必要な時にいつでも話ができる家族だよ。誰か、僕のことを選んでくれるといいんだけどな。」

するとジョーダン君に全米各地から「ぜひ養子にしたい」というオファーが殺到し、2日間で5千件の申し出があったという。

オクラホマ州社会サービス局でジョーダン君を担当するクリストファー・マーロウさんによると、年齢が高い子、両親に捨てられ心の傷を抱えた子、障がいを持った子、きょうだいがたくさんいる子などは養子縁組が難しいそうで、ジョーダン君についてはこう明かした。


「ジョーダンのケースは特に複雑でね。これまでも里親のもとで数えきれないほど暮らしてきたよ。今までに2家族が養子縁組に興味を示したんだけどね。情報開示をした直後に断られ、結局成立には至らなかった。だから今回のオファーは本当に嬉しいよ。今度こそジョーダンに最適な家族が見つかると嬉しいね。」

なお『KFOR.com』によると、里親のもとで暮らす子供はオクラホマ州だけで7700人、全米では40万人にもなり、約10万人が養子縁組待っている状態だそうで、クリストファーさんは「これをきっかけに、より多くの人に里親や養子縁組に興味を持ってもらいたい」と語った。


ちなみにジョーダン君は将来、警察官になりたいそうだが、養子になったことをお祝いするパーティを開き、一緒に食事をし、悩みを相談する家族を持つのも時間の問題だろう。



画像は『KFOR.com 2020年8月13日付「“I hope one of y’all pick me,” 9-year-old boy desperately wants a place to call home」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)