大きな口、多毛症、顔の異形症、皮膚の異常、眼瞼外反などを特徴とする遺伝子疾患「バーバー-セイ症候群(Barber Say syndrome、以下BSS)」は、世界での症例が20以下という非常に珍しい難病だ。
ブラジルのサンパウロに住むカワナさん(Kawana、22)は同国初の患者で、生まれた時には瞼がなかった。これまでに目の手術を5回受けており、瞳は常に光に敏感で弱視である。
BSSの典型ともいえる大きな口を持つカワナさんは、これまでに20回以上も口の手術を受けており、手術は今後も続くという。カワナさんは「歯肉が増殖し続けてしまうため、歯肉を切除する手術が必要なの。歯の健全な成長のためにもね」と述べると、 BSS患者として最もつらかったことについてこのように明かした。
「外見が人と違うことは、自分が望もうが望むまいが注目を浴びてしまうものなの。私を見て怖がったり、私に触れたすぐ後に手を洗いに行く人さえいるわ。子供の頃はそういう偏見を上手く受け止めることができなくてつらい思いをした。でも私は変わったの。以前より精神面でとても強くなったわ。」
実はカワナさんが自信を持つようになったきっかけは、数か月前に始めた動画アプリ「TikTok」だそうで、今ではフォロワーが21万人を超えている。
カワナさんは「パンデミック中に子供の頃から大好きなダンスの動画を投稿したら、とても評判が良かったの。TikTokが私の可能性を導き出してくれたのよ。こんなに多くの人が私をサポートしてくれるなんて思いもしなかったの」と嬉しそうに語り、「時間があれば夜遅くまでダンスをしているのよ」と笑った。
そして「何度も心が折れそうになった時、常に助けてくれたのはかけがえのない“家族”だった」と明かすと、こう続けた。
「私にとって一番の支えは祖父、叔母を含む家族だった。特に1年半前に亡くなった父は私の全てだったわ。父は私が学校でいじめられて『もうこんなの嫌よ。私は耐えられないわ』と泣きながら帰宅すると、決まってこう言ったの。『くじけるんじゃないよ。君なら乗り越えられるから』とね。」
「そしてもう一人、私にとって父のような存在なのが、生後1か月の時から定期検診を受けてきたマルコ医師(Dr.Marco)よ。医師は私のことをよく理解してくれているし、会うことをとても楽しみにしているの。」
マルコ医師は遺伝学の専門家で、カワナさんは最近、約1年ぶりに医師のもとを訪れた。
マルコ医師はカワナさんについて「彼女はとても素敵な女性だが、これまで一番心配だったのは精神面の発達だった。
もうすぐ23歳を迎えるカワナさんは最後に、自身についてこう述べている。
「私はファンや家族、医師に支えられてラッキーだと思う。だから今後のことを考えると、わくわくしてくるの。でもその一方で、私が様々な困難を乗り越えてきたことを理解して欲しいと思う。多くの人に私のことを知ってもらいたいわ。」
「だって私のフォロワーたちはこう言うのよ。『彼女ができるなら、私にだってできる』とね。」
ちなみにカワナさんの動画を見た人たちは、次のような感想を述べている。
「彼女をいじめた人は、彼女のような美しい心、内面の強さ、勇敢さを一生持つことができないと思う。」
「先天性疾患のある子供を見捨ててしまう親がいるなかで、彼女の父親は素晴らしい人だったと思う。たくさんの愛をもらったんだね。」
「自分に自信を持ち、敬い、知性を持っている人こそ美しい。彼女はそれに値すると思う。」
「醜く生まれる人なんていないよ。
「人生は時にとても残酷。自分で外見は選べないからね。でもあなたが物事をどう見るかによって、人生は変えられる。」
「内面の美しさが一番大切。あなたはとても強い。」
「美の基準なんてない。誰もが『重要で、愛されている』と感じるべき。」
「医師と彼女の心のつながりも素敵。温かい人たちに囲まれている彼女は幸せだと思う。」
画像は『Shake My Beauty 2021年1月29日付Instagram「I hope that my story can reach a lot of people」』『Born Different 2021年1月28日付Facebook「Only 20 People In History Were Born Like Me」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)