バラク・オバマ第44代米大統領が、このほどロック界の大御所ブルース・スプリングスティーンとともにポッドキャストに登場した。オバマ氏は番組の中で中学時代に友人から差別用語を発せられた過去を告白、その友人の顔に殴りかかったという“やんちゃエピソード”を披露した。

昨年11月に自身の回顧録『A PROMISED LAND』を出版し、発売から1か月のアメリカ・カナダでのセールスが300万部超を記録するという快挙を達成したバラク・オバマ元大統領。現在はその続編となるVol.2の執筆で多忙を極めるオバマ氏だが、現地時間22日にはロック歌手ブルース・スプリングスティーンとタッグを組み、新たなポッドキャストシリーズ「Renegades: Born In The USA」をスタートさせた。オバマ氏とブルースという異色とも思える組み合わせの2人が互いの人生観や音楽、そしてアメリカへの愛などいくつもの共通点について語り合っている。

「American Skin: Race in the United States」とのタイトルで配信された第2回目では、アメリカにおける人種差別についてのトークを繰り広げた2人。その中でオバマ氏は、中学時代に経験したあるエピソードを明かした。

「学生時代にある友人がいたんだ。一緒にバスケットボールをする仲でね。ある時ケンカになって、そいつが僕を“coon”って呼んだんだ。」

“coon”とは通常“c**n”などと表記される黒人に対する差別用語だが、そんな言葉を親しい友人に浴びせられたことに怒りを覚えたオバマ氏は、当時のことをこう振り返っている。

「ひょっとしたら彼は“coon”って言葉が何を指すかすら知らなかったかもしれないんだけど… “これを言えばお前は傷つく”って知っていたんだろうね。」

「僕はそいつの顔に殴りかかって、鼻を折ってやったことを覚えている。ロッカールームでの出来事だったよ。」

「お見事」と笑うブルースに対しオバマ氏は、その友人が顔面から血を流したこと、そして「なぜこんなことをしたんだ?」と問い詰めたことを明かし、友人に「もう二度とそんな呼び方をするな」と忠告したそうだ。

このエピソードは過去の著書の中でも綴られており、オバマ氏はそれが7年生(日本では中学1年生にあたる)の出来事だったことを明かしている。オバマ氏はそんな大昔のエピソードや自身のこれまでの人生を振り返りながら、人は人種や育った環境など自分と異なる要素を何かしら相手に見出すことで優越感などといった感情を抱き、その心理状態がやがて慣行化され、相手を非人間的に扱ったり、騙したり、殺したりといった行動を正当化するために使われるようになってしまう―と差別が生まれる背景を分析している。

アメリカでは昨年、白人警察官によるアフリカ系アメリカ人へのあからさまな人種差別と非人道的な暴力行為が発端となり、一大“Black Lives Matter”ムーブメントが巻き起こった。また新型コロナウイルスの蔓延とともにアジア系の人々に対する偏見もエスカレートし、今年に入ってからは特にカリフォルニア州ベイエリアを中心に高齢のアジア系を狙った被害が急増している。



画像2枚目は『Spotify 2021年2月23日付Instagram「The first two episodes of #RenegadesPodcast with President @barackobama and @springsteen are out right now at the link in bio」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)