米ラップ歌手カニエ・ウェストがグラミー賞授賞式で着用したスニーカーが、このほど180万ドル(約1億9500万円)で落札された。昨年落札されたナイキの「エア・ジョーダン1」の61万5千ドル(約6700万円)を打ち破り、過去最高額を記録した。


競売大手サザビーズが現地時間26日に開催したオークションで、カニエ・ウェストのスニーカーが史上最高落札額を更新したことを発表した。

スニーカーは、2007年にカニエとナイキのマーク・スミス氏が共同でデザインした「エアイージー1(Air Yeezy 1)」の試作モデルだ。当時カニエがスニーカーを作るという噂が広がったが、プロジェクトはトップシークレットで進められ、作品については謎に包まれたままだった。

完成したスニーカーが初披露されたのは、2008年の第50回グラミー賞授賞式だった。この日4部門を受賞したカニエは「エアイージー1」を履いてステージに登場し、楽曲『ヘイ・ママ』と『ストロンガー』を披露。母の死からわずか数か月となる日、感動的なパフォーマンスを行った。
この舞台はカニエのキャリアとファッションにおいて、重大な意味を持つ瞬間となったのである。

今回スニーカーを破格で落札したのは、希少な靴に投資するためのオンライン・プラットフォーム「RARES」だ。ユーザーは投資家が会社の株を買うのと同じように、靴の所有権を共有することができるという仕組みだ。

スニーカーは当初、ナイキが米ポートランドにあるドーレンベッカー小児科病院への寄付を目的に“グラミー賞で着用した靴”と銘打って売却された。そして今回、所有していた靴コレクターのライアン・チャン氏が、サザビーズのプライベートセールに出品したという。

ナイキがアスリート以外の人物とコラボレーションしたのは、カニエが初めてだ。
スニーカーはソフトなブラックレザーを使用し、「イージー(Yeezy)」の頭文字“Y”が刻まれたピンクのメダルが付いている。


試作モデル発表後、2009年には「エアイージー1」が、2012年には「エアイージー2」が限定発売された。2013年、カニエはスニーカーによる収益の取り分が不十分だとして、ナイキとのパートナーシップを終了。翌年にはアディダスとの提携を開始している。

ナイキの「エアイージー1」と「エアイージー2」は、カニエが展開するファッションブランド「イージー」の軌跡を築いたものであり、現在コレクターが最も注目するスニーカーのひとつとなった。

画像2、3枚目は『Sotheby’s 2021年4月26日付Instagram「World Record: This pair of Kanye West ‘Grammy Worn’ Nike Air Yeezy 1 Prototypes from 2008 sold for a record-breaking $1.8 million today, acquired by sneaker investing platform @raresapp via private sale.」、2021年4月12日付Instagram「Dropping today: Kanye West ‘Grammy Worn’ Nike Air Yeezy 1 Prototypes, the iconic sneakers worn during the artist’s memorable and emotional performance of ‘Hey Mama’ and ‘Stronger’ at the 50th Annual Grammy Awards in 2008.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)