イギリスで今月12日、3歳男児が意識を失った母親のために緊急通報して助けを呼んだ。見事に母親を救った男児は、YouTubeで見たアニメから救急車を呼ぶ方法を知ったと話しているという。
幼い子どもと家で2人きりでいる場合、緊急時の対応方法について考えさせられるケースを『Coventry Telegraph』などが伝えた。

英ウェストミッドランズのロウリー・レジスに暮らす3歳のトーマス・ボッフェイ君(Thomas Boffey)は今月12日、母親のケイリー・ボッフェイさん(Kayleigh Boffey、33)と自宅で過ごしていた。

午後2時頃、トーマス君は上の階のトイレで粗相をしてしまい、下の階にいたケイリーさんを大声で呼んだ。ケイリーさんは階段を上がってトーマス君のもとに向かったが、持病のヘルニアと脾腫により突然激しい腹痛に襲われて転倒してしまった。

さらに運の悪いことにケイリーさんは強く身体を打ち、意識を失ってしまったのだ。

なかなか来てくれないケイリーさんをトーマス君が迎えにいくと、呼びかけても反応しないケイリーさんの姿があった。
普通なら母親が意識を失っている姿を見てしまったらパニックになるのではと思ってしまうが、トーマス君は違った。

トーマス君は階段に設置したベビーゲートを椅子を使って乗り越えると、窓際に置いてあったケイリーさんの携帯を見つけ、緊急通報番号「999」に電話をかけて助けを求めたのだ。

つたない言葉ながらも母親のピンチを伝えようとするトーマス君が、オペレーターのモルガン・アンフレットさん(Morgane Amphlett)とやり取りをした音声が残されている。幼い子どもの声を聞いたモルガンさんが「ママはいる?」と優しい口調で聞くと、トーマス君は「うん」とだけ答えた。そして「ママは大丈夫?」と聞くと「ううん」と返答した。続けてモルガンさんが「ママはケガをしてるの?」と尋ねると、「うん。
階段から落ちちゃったの」とトーマス君は少し困惑した様子で状況を説明した。

モルガンさんはまずトーマス君が話しやすくなるようにと考え、「お名前は? 何歳なの?」など簡単な質問をし始めた。そして「ママとお話できるかな?」と聞くと、なんとか意識を取り戻したケイリーさんが応答した。

「階段から落ちてしまったんです」と消え入るような声で話すケイリーさんは、痛みで息をするのもやっとな状況だった。状況を理解したモルガンさんは「すぐ助けに向かいます」と伝えた。

モルガンさんに「誰が電話したのですか?」と尋ねたケイリーさんは「あなたの息子さんですよ」という答えを聞くと、「私の息子が?」と驚いた様子だった。
すぐ隣ではトーマス君が「ママ大丈夫?」と心配している声が聞こえ、ケイリーさんとモルガンさんは2人で「本当に良い子ね」とトーマス君を褒めていた。

モルガンさんは「ママの手を握っていてあげて」と呼びかけており、トーマス君は救急車が到着するまでの10分間、ケイリーさんのそばにいたという。そして救急隊員が家に到着すると、トーマス君は玄関ドアのカギをしっかりと開けて対応した。

たった3歳の子どもが1人でここまでの対応をすることができたのは、YouTubeで見たアニメのおかげだという。ケイリーさんは「YouTubeで他の動画を見ていた時に、『Robocar POLI』という動画が広告で出てきたのでそのまま流していました」とトーマス君が見たアニメについて明かしている。

『Robocar POLI』はパトカーや救急車、消防車が緊急事態の際にどのように対応するのかを伝える教育アニメで、これによりトーマス君は「999」という緊急通報番号の存在を知り、すぐに助けを求めることができたそうだ。



膝や足首、肩、臀部を負傷し、現在は自宅で療養中のケイリーさんは「本当にショックで恐ろしい体験でしたが、言葉にならないほど息子のことを誇りに思います」とトーマス君を称賛した。

さらに「緊急事態に備えた動画を子どもに見せることは、助けを求める番号を知るためにも非常に大切なことです。母親や父親、もしくは自分自身に何かあったときに、安全を確保して助けを求めることができるのです」とコメントしており、緊急時の対応を子どもに教育しておくことの重要性を呼びかけている。



画像は『Coventry Telegraph 2021年11月21日付「Listen as hero toddler calls 999 after mum’s collapse」(Image: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)