オーストラリアの航空会社「カンタス航空」の飛行機に搭乗した乗客が先月22日、機内から捉えた写真をTwitterに投稿したところ物議を醸した。写真には、何か所もダクトテープのようなもので補強された飛行機の片翼が写っていた。
投稿者は「修理費をかけないで利益ばかり見ている」と航空会社を非難したが、実はこのテープは翼を補強する正規の方法だった。『New York Post』などが伝えている。

オーストラリア出身のオペラ歌手デイヴィッド・ウェイクハムさん(David Wakeham)は先月22日、搭乗した飛行機の窓から見えた景色を撮影し、その写真を自身のTwitterに投稿した。カンタス航空が運航する飛行機に乗っていたデイヴィッドさんが撮影した写真には飛行機の片翼が写っており、表面には何か所もダクトテープのようなものが貼り付けられていた。

デイヴィッドさんは「お気に入りの航空会社を選ぶ時は賢い選択をしましょう。カンタス航空は安全性よりも利益を取ったようです」と言葉を添えており、カンタス航空が機体の修理費用を削っているのではないかと疑問を抱いていた。これには多くの人が同じように感じたようで、この写真はFacebookなど他のSNSでも瞬く間に拡散され、大きな話題を呼んだ。

しかしロイヤルメルボルン工科大学とABCニュースが共同でファクトチェックを行い、ニュースの事実確認や誤報についての最新情報をまとめた週刊ニュースレター「チェックメイト(CheckMate)」によると、写真に写っている銀色のテープは間に合わせで使用したものではなく、機体の塗装が剥がれた際に使われる「スピードテープ(Speed tape)」だったことが明らかになった。

スピードテープは時速600マイル(約965キロ)の風に耐え、適切に使用すればマイナス約53.8度から約148.8度という極端な環境変化にも耐えうる素材でできている。さらには湿度、炎、紫外線、化学物質にも耐えるという非常に強い耐久力を持つ。

また写真に写っている機体は「ボーイング787-9ドリームライナー」と判明しており、2020年には米国航空連邦局(Federal Aviation Administration)が「紫外線ダメージにより塗装が剥がれやすい」と公表していた。これを受け、同モデルの生産会社であるボーイング社は2021年12月に「塗装の剥がれは翼の構造に影響はないため、安全性にも影響はありません」と明かしていた。
こうした事実から、今回問題になった機体は塗装の剥がれに対応するためにスピードテープを使用し、安全上の問題はないことからそのまま運航していたとみられている。

チェックメイトによると、写真はメルボルン空港のカンタス航空国内線ターミナルで撮影されたようだが、写っている機体が実際にカンタス航空のものであるかどうかはまだ断定できないとしている。

ちなみに飛行機の写真については、今年8月にオランダで離陸直前に冗談で飛行機事故の写真を拡散した18歳少年が警察官によって降機させられていた

画像は『New York Post 2022年10月2日付「Airline explains why plane wing covered in duct tape after photo goes viral」(Twitter/@WakehamDavid)』『David Wakeham 2022年9月25日付Twitter「Where I sang my first guest contract in Germany.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)
編集部おすすめ