インドネシアのメンタワイ諸島で18日、サーフィン中だったイタリア人女性が、鋭い口ばしを持つ魚に突き刺されて死亡する事故が発生した。米紙『The Washington Post』など各国のメディアが報じたが、不慮の事故に悲しみの声が広がった。
魚に刺されて死亡する事故は稀ではあるものの、過去にもいくつか報告されている。

10月18日、メンタワイ諸島でサーフィン中だったイタリア人のジュリア・マンフリーニさん(Giulia Manfrini、36)が、鋭い口ばしを持つ魚に刺されて死亡した。

ジュリアさんと共同で旅行代理店「AWAVE Travel」を設立したジェームズ・コルストンさん(James Colston)は20日、Instagramに「残念ながら、彼女のパートナーや地元のリゾートスタッフ、医師たちの努力にもかかわらず、ジュリアを救うことはできませんでした。私たちは、彼女が愛した場所で、愛することをしながら亡くなったと信じています」と追悼の言葉を述べた。この投稿に対して、ユーザーからも「言葉が出ません。あまりにも早く、輝く太陽のような魂が旅立ってしまいました。ジュリア、安らかに」「信じられません。彼女は私たちのハネムーンの手配を手伝ってくれ、一生忘れられない旅となりました。この知らせを聞いて本当に悲しいです」と、突然の訃報に悲しみの声を上げている。

メンタワイ諸島地方防災局の局長代理であるラフムディン・シレガールさん(Lahmudin Siregar)は、インドネシアの通信社『Antara』に対し「メカジキがジュリアさんに飛びかかり、胸を刺されて5センチの切り傷を負いました」と述べた。ジュリアさんが滞在していたホテル「ヒドゥン・ベイ・リゾート・メンタワイ(Hidden Bay Resort Mentawais)」は声明で、ジュリアさんを「お客様であり友人」と呼び、「この地域の穏やかな波でサーフィン中に、胸を魚に刺されて即死しました」と説明している。

なお同ホテルは、彼女が突かれたのはメカジキではなく、同じく長い顎を持つニードルフィッシュ(ダツ)だったと伝えている。



メカジキやニードルフィッシュとの遭遇はまれであるが、2015年にハワイ島で釣り船の船長がメカジキに刺されて死亡したとハワイ州土地・天然資源局が報告した。また2023年には、イタリア人サーファーが、インドネシアのスンバワ島でニードルフィッシュと遭遇し、肺に穴が開く怪我をしたと米誌『SURFER Magazine』が報じた。他にもタイ南東部のビーチで、観光客がニードルフィッシュに首を刺されるという事故が発生したとタイのニュースメディア『バンコク・ポスト』が伝えた。

ヒドゥン・ベイ・リゾート・メンタワイは23日、イタリア大使館にメールで「事故の目撃者が、彼女が刺された後の苦しみの声を聞き、水から岸に引き上げて応急処置を施しました。そして、グループの中にいた医師が蘇生を試みましたが、近くの病院に運ばれても彼女は助かりませんでした」と報告した。イタリア大使館は24日、インドネシアでイタリア人が亡くなったことを確認したが、それ以上の詳細は明らかにしていない。

ジェームズさんは24日、米紙『The Washington Post』にメールで、彼女の遺体がイタリアに送還されたことを伝えた。彼女の出身地であるイタリアのベナリア・レアーレのファビオ・ジュリーヴィ市長(Fabio Giulivi)は、Facebookに「この知らせに私たちは衝撃を受けており、ジュリアさんの命をあまりにも早く奪った今回の悲劇に対して無力さを感じています」と綴った。

ジェームズさんは、ジュリアさんについて「ヨーロッパならびに世界中のサーフィン旅行業界で尊敬される存在でした。彼女の親切さ、気遣い、ポジティブな姿勢は、彼女に会った全ての人の記憶に残っており、彼女は惜しまれてやまない存在でしょう」とコメントしている。

画像は『AWAVE Travel Instagram「It is with the deepest sadness that I have to announce the passing of Giulia Manfrini, one of AWAVE Travel’s co-founders.」』『The News International 「Swordfish impales surfer to death in Indonesia」(Pexels)』より
(TechinsightJapan編集部 MM)
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