この冬の前半は冬型の気圧配置となった日が多く、日本海側を中心に平年よりも雪の量が多くなりました。後半も東日本・北日本では寒気の影響を受けやすい見通しです。
この冬はラニーニャ現象で厳しい寒さ 冬の終わりまで続く可能性高い
今冬はシーズンが始まる前からラニーニャ現象の影響を受け、日本付近は寒気の影響を受けやすいと予想されていました。1月11日発表の気象庁のエルニーニョ監視速報によると、ラニーニャ現象はまだ続いていて、冬の終わりまで続く可能性が高いとみられます。さらに12月後半から1月のはじめにかけては北極圏から寒気が盛んに放出される時期がありました。こうした地球規模の仕組みが働いたことも手伝って、今シーズンは寒さの厳しい冬になっているようです。1月20日発表の気象庁1か月予報の実況のグラフ(上図)を見比べてみると、北日本から西日本の広い地域で平年に比べて気温が低い期間があったことがわかります。
西日本を中心に多雪傾向 雪山ではより慎重な判断が必要
とくにグラフが平年を大きく下回っている年末年始の期間には一気に積雪が増えたところがあり、盛んに報道されていました。実際にはどうだったのか、1月20日時点で今シーズンの累積降雪量を見てみると、北海道太平洋側や甲信地方で雪が少ないものの、やはり今年は雪が多くなっている地点が多いようです。
注意してほしいのはこの図は降雪量の合計であって、積もっている雪の量ではないことです。顕著な寒気が抜ければ気温が上がって雪が解けやすい低標高地域では降った雪の量ほど積雪は残っていません。ところが、昇温しにくい山岳地帯では累積降雪量にある程度相関する形で雪が蓄えられている可能性があります。また、平年よりも気温が低いため、例年なら雨で降る機会が一定程度あり積雪が増えにくい山麓地域でも、雨で降る機会が減ったため積雪が多くなっている箇所があるかもしれません。
冬後半 考えられるリスクは
先に紹介した1か月予報では、北日本を中心に引き続き寒気の影響を受けやすい一方で、西日本では寒さが緩むと予想されています。北日本や東日本の山岳ではこれまでに貯蓄された雪に加えて、しばらくの間は雪の量が増えていくことが予想されます。例年なら雪をかきわける必要のないルートでも、雪をかきわけながら進む必要が生じて想定以上に時間かかる場合がありそうです。また、登山道にアプローチする林道から深い雪が積もっていて除雪が追い付いていないといったトラブルは十分に考えられます。
また、西日本では徐々に寒さが緩み、雪崩のリスクが増加します。多くの雪が蓄積されていることから、これまであまり雪崩が発生してこなかった斜面で、規模のやや大きな雪崩が発生するかもしれません。実際に伊吹山の6合目で雪崩が発生し、登山者数人が巻き込まれる事故が発生しています。