正しい態度を取る教育を受けてきたというナダル

なぜラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク4位)は接戦に強いのか!? ファイティングスピリットを前面に出して、常に集中し続けるイメージのナダル。その結果が、史上最多のグランドスラム21度の優勝である

【動画】ナダル対コルダ第3セット途中からのハイライト

ダニエル・メドベデフ(ロシア/同1位)と対戦した全豪オープン決勝では、2セットダウン、2-3で迎えたサービスゲームで0-40という絶体絶命と思えるピンチを凌ぎ、フルセットで勝利。
トロフィーを掲げた。
しかし、そういったピンチでナダルは「頭の中では、"ほとんど不可能だ "と思っているんだ」と思いのほかの言葉を発している。

現地3月12日、「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ATPマスターズ1000)シングルス2回戦、セバスチャン・コルダ(アメリカ/同38位)と対戦したナダルは2-6、6-1、7-6(3)で逆転勝利。第3セットは2-5からカムバックしての勝利となった。これで開幕からの連勝記録を16(不戦勝含む)に伸ばしている。

その試合の記者会見で、ピンチでの強さについて説明している。

「もし、私がいつでも復活できると信じているのなら、それは真実ではないよ。そうではないんだ。2-5から“よしカムバックするぞ”なんてすごい自信は持っていない。それどころか、頭の中では"ほとんど不可能だ "と思っている。ただ、あきらめたくはないんだ。ほとんど不可能だとわかっていても、とにかく進み続ける。
相手に少し難しいショットを打たせようと考える」と意外にも、逆転する自信はないと語ったナダル。

「ああいう試合では、100試合あったら90試合は負けることになる。もし、あきらめたら100敗だ。ただ、そういう心持ちになれば10%は勝つことができる」と、あきらめなければチャンスが来ることもあると『スラムダンク』の安西先生ばりの説明をしている。

とはいえ、難しい状況で“あきらめない”というのは簡単なことではない。そうなったのは“そういう教育を受けて育ったから”と理由を語っている。

「私がテニスのキャリアを通じて、常に戦い続けてきた理由。正しい自制心、正しい態度、正しい闘志を持って戦い続けてきた理由は、シンプルだよ。そういう教育を受けて育ったからだ。私の叔父(トニ・ナダル)や家族は、私がラケットに当たることを決して許さなかった。それに悪口を言ったり、試合を投げたり、あきらめたりすることも許さなかった。おそらく子供の頃、彼らは勝ち負けにあまりこだわらなかったんだと思う。
最も重要なことは、教育であり、正しい価値観を持って成長することだ」とナダル。

さらに「もし、私がコートでラケットを壊し、自分のコントロール、自制心を失うようなことがあったら、間違いなく、次の大会には出場しないはずだ。それが、私がこのメンタリティーを持つ理由なんだろうね」と説明した。正しいメンタルを維持すること、それこそがナダルを偉大なプレーヤーに仕立て上げたということなのだろう。

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