
(前回)【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (1)】1,000円で宿泊可能なライダーハウスに転用された「萱野駅」
→https://tetsudo-ch.com/10493855.html
幌内線廃線跡は、かつての主要路線であり、鉄路を失った現在も「鉄道の街」として息づいています。「北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねる旅」第2弾は、朽ち果てた駅舎を地域の方々が管理し、コミュニティの場として活用している「唐松駅」を紹介します。

唐松駅は、近隣で操業していた住友坂炭礦(現・住石マテリアルズ)の請願駅で、幌内線全線開業から41年後の1929(昭和4)年12月15日に開業しました。駅舎はギャンブレルと呼ばれる将棋の駒のような形をした屋根を持ち、農家の納屋のような雰囲気を漂わせています。この地域で採掘される石炭を搬出するための貨物用の駅として開業し、翌年に一般駅になりました。

開拓期に沢沿いで木材を切り出していた藤松氏にちなみ、周辺の炭鉱は藤松沢炭砿、藤松炭砿と呼ばれ、住友に買収されてから唐松炭砿と名付けられたことにより、駅名もそれに従ったと言われています。幌内線廃止後も駅舎は残されていたものの、管理されることなく朽ち果てようとしていました。

その姿に心を痛めた有志らによって2003(平成15)年に駅の手入れを開始しました。積雪で曲がった屋根を直し、プラットホームに溜まったゴミを捨て、落書きも消されました。思い出を留めるように、待合室には在りし日の写真や、幌内線関連の備品が飾られています。