東武竹ノ塚駅新駅舎外観(写真:東武鉄道)

東武伊勢崎線(スカイツリーライン)竹ノ塚駅を中心とした約1.7キロの区間を高架化し、赤山街道など区道2か所のいわゆる「開かずの踏切」を除却する――

2005年の踏切事故を受け、足立区が都市計画決定し、2012年に着工した「東武伊勢崎線(竹ノ塚駅付近)連続立体交差事業」も終盤に差し掛かりました。

すでに高架化済みの上下急行線に続き、2022年3月20日(日)には上下緩行線が高架化、これに伴い新駅舎やホーム等の供用も始まります。本稿では12日(土)に行われた見学会の取材内容をもとに、新しい竹ノ塚駅の様子をお届けします。

東武「竹ノ塚駅」新駅舎を見る まもなく上下緩行線高架化 19日夜には運休発生・撮影禁止も
事業区間約1.7キロ。第37号踏切・第38号踏切が高架化によってなくなる(画像:足立区・東武鉄道)

【重要】高架切替工事で運休・撮影禁止等も

上下緩行線高架切替工事にともない、3月19日(土)22時40分頃から終列車まで、北千住~草加の上下緩行線(普通列車)が運休、振替輸送やバス振替輸送等を実施する予定です(急行・準急・区間急行・区間準急の上下線は通常どおり運転)。

また、同時間帯における浅草~久喜・南栗橋間の各駅ホーム・構内では、安全確保のため撮影が禁じられています。詳細は下記ツイート等をご確認ください。

「明るい、シンプル、自然的」

東武「竹ノ塚駅」新駅舎を見る まもなく上下緩行線高架化 19日夜には運休発生・撮影禁止も
新設されたホームは自然光を取り入れる明るい作り(※3月12日撮影)

新駅舎のデザインは、2018年に実施したアンケート結果から得られた「明るい、シンプル、自然的」という意見を反映したものになりました。

まずはホーム階から。1面2線の島式ホームで、延長約170メートル、幅員約9メートル。駅前広場に面した部分はガラス壁とし、屋根材に透過性のあるポリカーボネート材を一定間隔で設置することで自然光を取り込みました。天井には木組みを採用することで、「自然的」という要素を加えます。

ホームの構造的な特徴としては、2016年に高架化された下り急行線(2番線側)のみ少し離れた位置に独立しており、上り急行線を行く列車は緩行線のすぐ隣を走ります。

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「東武伊勢崎線(竹ノ塚駅付近)連続立体交差事業」概要パンフレットの施工順序図から。竹ノ塚駅部では上下緩行線と上り急行線が一体化し、下り急行線のみ独立して少し離れた位置に(画像:足立区・東武鉄道)
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下り急行線を行く東武特急100系スペーシア(※3月12日撮影)
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上り急行線と緩行線(※3月12日撮影)
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ホーム端部から西新井方面(※3月12日撮影)

ホームドアは2022年4月16日(土)より使用開始となります。本来は高架化と同じタイミングになるはずでしたが、世界的な半導体不足や新型コロナウイルスの影響などにより1ヶ月ほどずれ込むことになりました。

使用開始日までは、警備員を配置し安全を確保しながら、ホーム上に赤外線センサ音声案内記を設置し、ホームドアが工事中である旨の音声案内を実施します。

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ホームドアは取材時点で1番線(上り線)のみ設置済み。2番線(下り線)も本稿掲載時点ですでに設置が完了しています(※3月12日撮影)

新設されたトイレが綺麗、バリアフリー設備も充実

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駅入り口付近の様子。写真左に見えるのがウォークインカウンター。改札機は緑色のパイロンが並ぶあたりに設置されます(※3月12日撮影)

コンコース階は広々としており、ホーム階同様に西側の一部の壁面にはガラスを採用しています。ホーム階へと続く階段は3カ所設置されており、中央付近にはエレベーターも。急病人などを運ぶストレッチャー(担架)も運べる20人乗りの大型です。

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ホーム階へとつながる階段。コンコース階中央付近の向かい合うように設置された階段にはエスカレーターも併設されています(※3月12日撮影)
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ストレッチャーも運べる20人乗りの大型エレベーター(※3月12日撮影)

注目したいのはトイレ。男性用・女性用・バリアフリートイレのみならず、おむつ替えスペースなども備えました。待合部分には足立区と提携している鹿沼市産の木材を使用したベンチも設置しており、こんなところでも「自然的」な要素がと驚きます。

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トイレ入り口付近、中央のベンチは足立区友好都市である「栃木県鹿沼市」で生産された木材(スギ)を使用したものです(※3月12日撮影)
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男性トイレ内部の様子(※3月12日撮影)
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70000形のような外観の「おむつかえコーナー」も(※3月12日撮影)

過剰な装飾も抑えられ、「明るく、シンプル、自然的」というコンセプトを反映した、綺麗ですっきりとした使いやすい駅舎のように感じます。上下緩行線高架化後は、引き上げ線の高架化や仮線などの撤去などを行い、2023(令和5)年度に連続立体交差事業が完了する見込みです。

記事:一橋正浩