腰から妹が生えた女 ― マートルの奇跡の人体構造と数奇な人生とは?

腰から妹が生えた女 ― マートルの奇跡の人体構造と数奇な人生とは?

「四本足の女」――。世間は、ジョゼフィン・マートル・コービンをそう呼んだ。

 しかし、正確に言うとこれはまちがいだった。確かに、彼女のドレスの裾からは、四本の足が覗いて見える。だが、このうち一組がマートルのもので、もう一組は寄生性ニ殿体(dipygus)の双子のものだった。

 二殿体は非常にまれな奇形症だ。写真をよくご覧いただきたい。ほぼ正常に成長した外側の足の間に、未成熟の小さな足が二本ぶら下がったように生えている。まるでカニかクモを思わせる異様な光景だ。

【その他の画像はこちらから→http://tocana.jp/2014/08/post_4616.html】

 けれども実は、内側の足と外側の足でペアなのだ。 このペアが二組ある。そう、双子と書いたが、彼女の双子の妹(─そうわかるのは後のことだ─)には腰から下があるだけで、その上は痕跡しか残っていない。つまり、マートルには"下半身だけの妹"が寄生しているのだ。言い換えれば、マートルには二つの骨盤があるということになる。

■芸名は「テキサスの四本足少女」

 彼女は1868年、アメリカのテネシー州で、父ウィリアム H. コービンと、母ナンシー・コービン(旧姓サリンズ)の間に生まれた。子供時代の大半をアラバマ州のブラウント郡で過ごした。兄弟姉妹はマートルを入れて4男4女。彼女は生後3週間で体重が約4.5キロあり、よく乳を飲み、すくすくと成長した。

 1890年の国勢調査によって、マートルは信じられないほど稀な奇形のケースとして世間の注目を集めた。翌年13才になると「テキサスの四本足少女」の呼び名で、見世物芸人の道を歩みはじめた。

 最初のプロモーション・パンフレット(「マートル・コービンの来歴、1891年)には「夏の日差しのように優しく爽やかな性格」とある。その人気はたいへんなもので、休演の際には偽の代役が立てられるほどだった。マートルは身長約5フィート(約1.52メートル)、肌は抜けるように白く、眼は青く、巻毛で、とても知的だった。

 彼女の人気は、そのすぐれたショーマン・シップに裏打ちされていた。内側の小さな足にも、外側の足と同じソックスと靴を履かせた。これが彼女にきわめて超自然的な風貌をあたえ、たちまち週に450ドル以上も稼ぐ売れっ子にのし上がった。

 そのまま続くかに思えた奇形芸人生活だが、7年後、19才になったマートルになんと求愛者が現われた。

■四本足のジューン・ブライドの秘密

 相手の名はジェームズ・クリントン・ビックネル。職業は医者で、マートルの妹ウィリーアンの結婚相手ハイラム・ロック・ビックネルの兄弟だった。

 周囲の祝福を受けて、2人は1886年6月に結婚した。カネ目当てとの憶測も流れたが、その後ジェームズが、彼女がショー・ビジネスから引退するのを望んだことからも、その愛情は疑うことができない。

 マートルの体の信じられないほど奇妙な点が明らかになるのは実はそれからだった。彼女にヴァギナが2つあるとわかったとき、医学界に衝撃が走った。腰から下の双子も女性の体をしていたのだ。

 結婚後1年ほどした1887年の春、マートルは左腹に痛みをおぼえた。発熱と頭痛のほかに食欲の減退も感じた。往診した医師ホエーリーは彼女が妊娠していると告げた。左の子宮が受胎していると。そう、なんと子宮もまた2つあったのだ!

 この時マートルは重篤になり、妊娠3~4カ月の間で堕胎しなければならなかったが、後に完全に回復した。こうしてアメリカ中、いや世界中の医学関係者と医学雑誌が、彼女の将来の出産を待ちわびることになる。

■訪れた幸福の末に

 後に、マートルが4人の娘と1人の息子を授かると、3人は一方のヴァギナから、残りの2人はもう一方から生まれたとの、まことしやかな噂がささやかれた。ジョージ・M・グールドとウォルター・L・パイルは『医学における異常と珍奇』誌で、彼女のヴァギナはどちらも月経が観察されたと報告しているため、全くのデタラメとはいえないが...。

 1890年代のはじめ、ビックネル夫妻はテキサス州に移転した。その後、一家の経済状況が悪化したため、マートルは1909年に41歳で芸人に復帰した。見世物小屋やサーカスに出演してお金を稼いだが、1915年には完全に引退した。
だが、ようやく訪れた静かな老後も束の間、右脚の皮膚の感染症が元で、彼女は1928年5月6日、家族や友人に見守られながら、テキサス州クリーバーンで 60才の数奇な一生を終えた。

 生涯において8人の子をもうけ、4人を幼くして失った、四本足の母親ジョセフィン・マートル・コ-ビン。生前の彼女を知る者はみな一様に口をそろえて次のように語ったという。「魅力的な顔だちで、身体は健康、家庭の義務と子供の世話を立派にこなした上に、非常に知的な女性だった」と。
(文=石川翠)

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