【日本怪事件】隣人が奏でる"延々と続く音"にキレた男 ― 栃木県警のミスが引き起こした散弾銃事件!

【日本怪事件】隣人が奏でる"延々と続く音"にキレた男 ― 栃木県警のミスが引き起こした散弾銃事件!

――日本で実際に起きたショッキングな事件、オカルト事件、B級事件、未解決事件など、前代未聞の【怪事件】を紹介する...!

【散弾銃殺傷事件】

 布団叩きの音がうるさい......。散弾銃による凄惨な射殺事件は、ささいな隣人トラブルが発端だった。

 舞台となったのは、栃木県宇都宮市さつき三丁目の住宅街。周辺には日産自動車栃木工場、陸上自衛隊宇都宮駐屯地があり、その関係者や家族らも多く住む街だ。

 隣り合って住む、田中家と高橋家。加害者となる高橋卓爾(当時、62)も、妻の公子さん(当時、62)を殺されることになる、田中道雄氏(当時、60)も、同じく富士重工業に勤務。高橋は、事件の起きる2年前の平成12年に退職していた。

 両家はどちらも、昭和53年に会社の斡旋で住宅を購入。家のサイズもほぼ同じで、どちらも子供は息子1人、通っている進学校も同じ。当初は、親しい近所づきあいもしていた。高橋の妻が、「奥さん、奥さん」と言って田中家に上がり込んで、ずっとお喋りしているような仲だったそうだ。しかしその後、遠慮がなくなり、冷蔵庫を勝手に開けたり、法事のハガキを盗み見たなどの諍いで、絶縁状態になる。

 それが事件の20年前だ。

 最初のうちは、交流がなくなり、お互いに張り合っていただけだった。片方が家の改装をすればこちらも改装する、車を買えばこちらも買う、という具合に......。
 
 それからトラブルに発展し始めたのは、高橋の妻が脳梗塞で倒れ、一級身体障害者として、車椅子生活を強いられるようになってからだ。奥さんが退院する時に、ご近所の人々で退院祝いをしようという流れになった時、高橋卓爾と田中公子さんの間で口論になっている。それが事件の10年前。

 その後、高橋が退職。一日中家にいて、妻の介護をするようになると、トラブルは昂じる。いつも昼時に布団叩きをする公子さんに、「世間には昼休みというものがある」と高橋は文句を言った。しかし、「うちにはうちのペースがある」と公子さんは譲らない。

 これが殺害事件にまで発展するとは信じがたい。だが、高橋の不満そのものは分かるという、近隣住民の声もある。公子さんは神経質なところがあり、布団叩きは1枚1枚を裏表、隅から隅まで、埃が立つのも構わずに、延々と続く。「布団を叩く時間をずらしてあげたらどうか」そんなアドバイスをする住民もいたが、公子さんは耳を貸さなかった。

 事件の前年の平成13年7月23日の朝、公子さんがゴミを出した帰りがけに高橋の車が走ってきて、自分を轢こうとしたとして、公子さんは警察に届け出ている。警官は、話を元に略図を書いてみたが、事実を把握できなかった。この時、公子さんは、布団叩きのトラブルや、犬や猫の糞を屋根に投げられたなどの話もしている。しかし、警察は、捜査に乗り出すことはなかった。

 その後、田中家からの110番通報は27回を越えたが、駆けつけた警官は「隣同士なんだから、仲良くしなさい」と諭すばかりだった。

 高橋は平成14年2月から、趣味のクレー射撃のために講習会に参加。6月3日、県公安委員から銃の所持の許可を得て、数日後には散弾銃と銃弾を購入する。それまでの高橋は、渓流釣りや山菜採りにいそしんでいた。妻の介護の合間にできるというのが、クレー射撃を趣味に選んだ理由だったという。
 
 事件は、その1カ月後、7月4日に起きる。昼過ぎ、いつものように2階のベランダに出て、公子さんは布団叩きをしていた。散弾銃を持って庭に出てきた高橋は、銃口を公子さんに向けて引き金を引いた。付近に銃声が響いたのが、午後1時5分頃。被弾した彼女がベランダに倒れる。さらに散弾でガラス戸を破って高橋は田中家に浸入。2階に上がると、ベランダで苦悶する公子さんに向かって、さらに5発を発射した。

  隣に住む、公子さんの義妹、海老沼志都子さん(当時、52)が、騒ぎを聞きつけて、勝手口から出てきた。彼女にも高橋は、銃弾を浴びせた。

 近隣の主婦の通報で、パトカーが現場に到着したのが、午後1時18分頃。ベランダにはすでに高橋の姿はない。さらに銃声が響く。2階に駆け上がった警官が目にしたのは、壁一面に脳漿と血痕を飛び散らせ、壁にもたれた高橋の姿だった。銃口を咥え、足の指で引き金を引いたのだ。

 公子さんは、午後2時38分、運ばれた病院で絶命した。海老沼志都子さんは、左目を摘出するという壮絶な手術によって命を取り止めたものの、重い後遺症を負うことになった。

 計画的な犯行か、介護疲れのストレスで錯乱したのか......。死んでしまった本人に確かめようもない。被疑者死亡のまま、書類送検された。

 公子さんの夫を初めとした遺族4人は、高橋に銃の所持を許可した県公安委員長と宇都宮南署員ら3名を、業務上過失致死傷容疑で告訴した。だが、平成17年12月28日、宇都宮地検は、県公安委員長は嫌疑なし、同署員を嫌疑不十分とし不起訴処分とした。

 夫らは、高橋に銃所持を許可したのは違法として、7,700万円の損害賠償を求めて栃木県を訴えた。平成20年5月16日、東京高裁において、県が4700万円を支払うことで和解が成立した。しかし、海老沼さんの治療費は、時効ということで認められなかった。

「納得できない部分はあるが、いつまでも争うわけにはいかない」と、海老沼さんは苦渋の胸の内を明かした。「銃を許可した男の身元調査の『熟慮を要する』という言葉に裁判官が言及した」と和解を受け容れた理由を語っている。
(文=深笛義也)

あわせて読みたい

TOCANAの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

びっくりニュースアクセスランキング

びっくりランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2014年9月17日のびっくり記事

キーワード一覧

このカテゴリーについて

世界のびっくり事件や仰天する出来事などついつい気になる情報をお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。