村上隆や奈良美智に続く!? LAを熱狂させる日本人と米国人のアーティスト「kozyndan」 インタビュー

村上隆や奈良美智に続く!? LAを熱狂させる日本人と米国人のアーティスト「kozyndan」 インタビュー

 現在、プチ・ブームと言えるほど世界中で日本の文化がもてはやされている。和食や伝統芸能など主要な文化のみならず、アニメやマンガなどを中心としたオタクカルチャーまで全般的に人気を誇っている。

 2000年からロサンゼルスで暮らしている筆者はこの盛り上りを目のあたりにしてきたが、とりわけサブカル要素を含んだ現代アートは若い世代のアメリカ人に熱狂を持って受けいられ、日本を代表する現代美術家の村上隆や奈良美智などの個展が成功を収めると日本的センスが"cool"なものとして一般に広く認知されるきっかけとなったのは明らかだろう。

 これまで日本発祥のオタク文化は単純にキモイものと思われていたし、奇抜なファッションは滑稽に写っていたが、それらを融合させる橋渡し的な役割を担った現代アートは確実に海外での日本文化人気を牽引し、今やアメリカのカルチャーにも色濃く反影されるほどだ。

 そんな流れと同調する様にロサンゼルスのアートシーンに鮮烈に登場したのが「kozyndan(コーズィーエンダン)」。アメリカと日本出身の男女のアーティスト・チームで実生活ではカップルの2人が創り上げる作品は、日常の瞬間を切り取り、細密かつポップな空間描写で注目を集める。CDジャケットや雑誌などに作品が採用されると瞬く間にロサンゼルスを代表するアーティストとなり、現在に至るまで10年以上にわたり第一線で活躍し続けている。

 イラストのデザインをタトゥーにするほど熱狂的なファンをもつ彼らに今回幼少時代の話から出会ったきっかけ、作品を作り続ける事の苦悩や現在進行形のプロジェクトといった多岐にわたる質問に答えてもらった。さらにはアーティストとして社会問題意識の高さから巻き起こったSNS上での論争にまで突っ込んだ必読のインタビュー。

【その他の画像はこちらから→http://tocana.jp/2014/09/post_4827.html】

■遺伝的に(!?)絵が好きだった2人

――kozyndanの一番の特長として、何よりもチームとして2人で1組のアーティストという事、さらには男女で出身国も違うという唯一無二な存在として以前から凄く興味を持っていたので今回のインタビューを凄く楽しみにしてました。まずはそれぞれの生い立ちを教えてください。

Dan 今の自分の様になるとは全然想像してなかったよ。単なる子供だったね。おしゃべりでフレンドリーだったって言われるけど、憶えている自分自身はシャイな子供だった。家の中でよくテレビゲームしたりアニメ見たりしていたね。繊細な部分を持ってたと記憶しているけど、他の子をいじめた事もあったと思うから正直自分がどんな子供だったか分からないな。

Kozy 私も、子供の頃はすごくおしゃべりだった。知らない子ともすぐ友達になれたし。いじめられた事もあったけど、大きくなるにつれてもう他の子供たちにやられないと決めて強くなったし、もしかしたら友達を悪戯したりしたかも。地元が割と田舎だったからよく外で遊んでたね。インドアな子供になったのは小学校5、6年生の時にファミコンと漫画にハマったのがきっかけ。

――アートに関心を持ったのは? 自然に絵を書き出したのか、それとも何か強烈な体験があったのか?

Dan 常に絵を描く環境に囲まれていたと思う。憶えている子供の頃の自分はいつも絵を描いていたし、それこそ最初の記憶は絵を描いていること。多分遺伝的な事もあるかもね。kozyはどうだった?

Kozy 父親がアートスクールに通っていたから、遺伝的な要素は私にもあるかもしれない。いつも絵を描いていて、何かの芸術家になりたいと考えていたの。両親は私が小さな子供の頃から想像力を持つ様に育ててくれたから。

■遺伝的に(!?)絵が好きだった2人

――2人が出会ったきっかけは?アーティストとして興味を持ったのか、それとも男女として引かれ合ったのか?

Dan 大学の絵画の授業で出会ったのが最初で、人間としての彼女にすごく興味を感じたんだ。そして彼女のアーティストとしての技術の高さに驚かされたよ。クラスの誰よりも素晴らしい絵を描けたんだ。あ、それとクラス1の長く美しい髪の毛だったから、いつも彼女の後を追っかけてた(笑)!

Kozy 出会った頃は2人とも別の恋人がいたし普通に友達だったんだけど、1年経った後お互い相手と別れて付き合いはじめたの。

――それぞれ個人で活動するのではなく、1つのチームとしてアーティスト活動する事になったのはナゼ? 

Kozy 当時まだ大学に通ってて、付き合い出して一緒に住み始めたころまではダンとコラボして作品を作った事はなかった。授業の課題作品としてすごく長いパノラマの絵をアパートで描いていた時に、それをDanがスキャンしてコンピュータでデジタルに色付けしたのが最初。

Dan そう、その絵をすごく気に入って、遊び感覚で塗り絵していったんだ。それを見た彼女も楽しくなり一緒になって完成させたら、絵の出来上がりに2人ともすごく満足した。

Kozy すごく楽しい体験だったの。その時は一緒に作品を作った事に対して深くは考えなかったわ。でももう1つ作品を制作する事にして、そしたらそれ以来コラボし続ける様になって現在に至っている。

Dan 元々2人とも漫画やコミックが好きだったりイラストレーションを勉強した共通の下地があったから共同制作にすんなり入っていけたのかもね。

■村上隆や奈良美智を取り上げた雑誌に認められて...

――アーティストとして自立するのは凄く難しい事だけど、アート・シーンで注目されたきっかけは? 

Kozy 時代やシーン、アートファンなどすごく幸運が重なったと思う。アジアやアジア系アメリカ人のポップカルチャーを扱う『Giant Robot』という雑誌があって、村上や奈良といった日本のアーティストをいち早く取り上げた出版メディアなんだけど。そこがロサンゼルスにアート雑貨店を経営していて、まだ大学在学していた時に遊びにいったらたまたま雑誌の発行者であるエリック・ナカムラがお店でその時働いていて、これまでの作品のサンプルをいくつか持ってたから話しかけてお店のイラストレーションをさせてくれないかとお願いしたの。それからお店用のイラストレーションを制作して完成したものを見せたら彼も気に入ってくれて、雑誌のイラストと店内でのエキシビジョンをオファーしてくれた。お店にとってもそれが初めてのアート・ショーになったの。

Dan 彼はメールリストでショーの事を宣伝してくれて、その中に影響力が高い人達も何人かいたんだ。すぐさまディズニーTVアニメーションの副社長とミーティングをする事になってアニメ番組をオファーされたり、人気バンドのWeezerがライブ音源CDのアート・ワークに使用してくれたり。これ全部が大学卒業して1週間の内に起こった事なんだ! お店でのショーは卒業後2週間目ですごく楽しかった。2人とも自分たちに巻き起こっている事がどんな事か見当もつかなかったけど、ショーを開催して沢山の人達が来て作品がいっぱい売れた。アーティストとしてこんなに早く認められて成功する事が本当に稀なのは、2人ともまだ若くて理解してなかったんだ。でもそれ以来、アーティスト、イラストレーターとしてずっと活動し続けている。

――アートを作り続けるうえでの困難はあるの?

Dan もちろん、そのことについて毎日考えるよ! 時には他のアーティスト達とも話すこともある。思うに多くのアーティストは自己否定に苛まれてばかりなんだ。俺たちは自身に対する最悪の評論家ってこと。創作した作品に対して"最高"だなんて決して思わない。友達のアーティストも同じ事を言ってた「自分自身はサギ師みたいなもんで、たった今にも全ての人にそれが見透かされ、自分のキャリアが終了してしまうかもしれない」。アートを作り続けそれで生計を立ててきたけど、さらに努力してこのまま生活を続けられたら、25年後ぐらいには自分の事をアーティストとしてようやく認められるんじゃないかな。

Kozy 私は自分自身の事をそこまで追いつめてはいない。自分の事をサギ師と思ってしまう感覚自体は理解できるけど、絵を描くことが本当に好きでアートを作る際の手作業に多くの努力をおしまない。崇高な意味での"芸術"を私たちが制作しているかは分からないし、多分バカげたものでしかないのかもね。でも、少なくとも優れた職人だとは思っている。私が心配するのは私たちが歳を取った時、作品自体も時代遅れなものになってしまわないかって事。私たち自身をハッピーにしてくれて、私たちにとって本物の何かを作ろうと頑張っている。それとほんの少しだけど社会的なメッセージをバカげたイメージの中に隠し入れたりもしているの。その事に多くの人が今は気が付かないとは思うけど、未来で振り返った時に色あせないタイムレスな作品である事を願っているわ。

■人間のエゴでサメが消え去るのはバカげている

――作品に社会的なメッセージを含んでいるって話だけど、SNS上で論争となった「フカヒレ用のサメ乱獲」に対する抗議について聞かせてくれない? アーティストや有名人にとって社会的発言は使命的な義務でもある思うんだけど、特定の人達を中傷する様な言葉をあえて使ったその真意は? それに関し何らかの反応や脅迫めいたものはあった?

Dan サメのヒレ漁と海洋保護は俺とkozyにとって重要な問題なんだ。サメは海洋の自然環境にとって非常に大事な動物なのに、アジアの人々の乱獲によって絶滅の危機に瀕している。多くの人はサメが繁殖するにはとても時間がかかることを知らないよね。それに、中国人が成金趣味でそれ自体全く味がないフカヒレを食べる、人間のつまらないエゴのためにこの動物が地球上から消え去ろうとしている事がすごく悲しいし、バカげている。

 2人ともスキューバ・ダイビングが趣味なんだけど、インドネシアに潜りにいった時にサメの数が乱獲により激減していて、その大きな原因が中国、台湾、そして日本でフカヒレとして消費される事と知ったんだ。

 香港ではレストランや市場、薬局などで大量のフカヒレを見てぎょっとしたよ。怒りと悲しみがこみ上げ、写真を撮ってコメントと一緒にSNSにアップしたんだ。愚かな理由のために4億年も生存してきた生物が絶滅しそうになっているなんて酷過ぎるだろ。しかも中国と中国の食文化圏でしかそれが行われていないんだ。

 自分は決して人種差別者ではない、だけどこの問題に対して人々の関心を集めるために、あえてショッキングな言葉を使ったんだ。だけど多くの人達はネット上でその言葉の人種差別的な側面だけを取り上げ、コメントの内容にはほぼ無関心だったんだ。相手を中傷する言葉や非難する事に無駄な時間を使って、種の絶滅といった本当に重要な事には決して関わろうとはしない奴らばかりなんだ。偽善的だと思うし、こういった事を議論しないと人間という種はもうこれ以上進歩しないよ。

 脅迫なんて一切無かったし、個人に面と向かって文句を言って来るやつもいなかった。ただインスタグラムでフォロワーがいくらか減ったけどそんなのどうって事ないぜ!

――現在どのような作品を制作してるの?現行のプロジェクトは?

Kozy ちょうどサンリオ用の作品を仕上げたところ。ロサンゼルスでハローキティー(キティーちゃん)の40周年を記念した大きな展覧会が Japanese American National Museum(日系アメリカ人国立博物館)開かれ、ハローキティーの歴史や文化などと共に40組のアーティストによるアートが展示されるその一環で私たちも参加する事になったの。

Dan 本当はLSD やマッシュルームでトリップしてる様なハローキティーの美しい作品を描きたかったんだけど、アメリカではキティーは子供のためだけのキャラクターと考えている人達がいるからドラッグを含んだ描写ができなかった。だからキティーがけろけろけろっぴの肌をなめているトリッピーなイメージに変えて、明らかな幻覚作用的な絵にはなっていないよ。

――最後に、kozyndanの今後の展開を聞かせて。それと日本のファンへのメッセージもあれば。

Dan ヘンでいいんだよ、人と違っていいんだ。それと日焼けしな! 俺たちもアートを作っているより趣味に費やしている時間の方が多いんだ。自分を幸せにする事をもっとみんなした方がいい。俺は映画やテレビを見るのも楽しいし、アウトドアも大好き。それと自然の中で裸の女性の写真を撮ったり。今後の展開については分からないな。もしかしたら養鶏してるかもしれないし、航海に出てるかもしれない。未来についてはノープランだよ。

Kozy 私は現代の"働いても豊かにならない資本主義社会"や都会の雑踏から少し離れたいかも。ガーデニングが好きだからどこかトロピカルな地域で小さな畑で自分が食べる分の野菜を育てたり、大好きな山羊の赤ちゃんを育ててゴートチーズや山羊のミルク石けんを作る様な生活がいいな。発酵食品も作って趣味のヨガをしたり、イルカと一緒に泳いだり。アート・レジデンシーを始めて友達のアーティストやミュージシャンたちと一緒に作品なんかも制作できたらいいな、変わった陶磁器なんかおもしろいかも。アートの制作としては美術館や公共施設の壁に大きな規模のウォールペーパーを作りたい。女性としてはニューエイジな変人中年女性になるのが目標、老人になったらビンテージのスポーツカーの様なカッコいいお婆ちゃんになりたいな。

 私も含め、日本人はとても真面目だし働きすぎて自分の健康や幸せを犠牲にしがちで、人生の楽しみを忘れてしまう事が多い。自分を幸せにしてくれるものやことを思い出して、それらに囲まれて暮らすようにすればいいと思う、つまりは人生や全てのことを真剣に捉え過ぎない様にするんです。ヨガで学んだのが「真剣にならないようにすることに真剣になる」こと。日本のみなさんも試してみて下さい。

 カップルということもあり今回リラックスしたインタビューとなった。2人には普段はあまり聞くことができないプライベートなことに答えてもらったが、作品自体に関する質問はあえて避けた。この記事に掲載した写真以外にもネットで検索すれば簡単に彼らの作品に触れられるので各自で是非ご覧になってほしい。アートはどんな言葉で説明するよりも、それを鑑賞することで雄弁に語りかけてくるもの。kozyndanの特長である淡く柔らかな色使いに細部にまでこだわって描写され、カワイらしい生き物たちが登場するその世界観はやはりポップだし暖かみがある。kozyがインタビューの最後で語っていた様に、幸せにしてくれるものに満たされた世界だ。

 筆者の個人的な印象は良い意味で音のない、静寂な世界を感じさせてくれる表現だと思う。パノラマ作品の雑多な街の描写では一瞬を切り取ったストップモーションは音すらも止まっているし、自然や生き物を題材とした作品でも宙に浮いた、いや水中をただよう浮遊感に満ちている。静止はしてなくても限りなくストップモーションに近いスローモーションは海中の世界と同じく低い反響音のみが遠くから聞こえて来るだけ。その静寂は生命が誕生する際の静けさと温かさを感じる、ゆえにその世界に棲息する生き物たちはやわらかく繊細ながらも強い生命力を発している。そんなkozyndanの羊水の海から生まれて来る作品たちは、時を経てもポジティブなエネルギーを放ち続け、見るものたちを幸せな世界に包んでくれるに違いない。
(取材・文=Mighty Nice)

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