「テレパシー実験」遂に成功! 人類が迎える新たな「脳コミュニケーション」時代とは?

「テレパシー実験」遂に成功! 人類が迎える新たな「脳コミュニケーション」時代とは?

 家を離れた我が子を心配する母が感じる「虫の知らせ」、別々な生活を送る双子の兄弟の「以心伝心」、相手の目を見るだけで心の中が分かるという「読心術」......。このような不思議な事例を耳にしたとき、「テレパシー」の存在について考えさせられることがある。テレパシーとは特別な者だけが持つ能力なのか? あるいはすべての人間に備わっている潜在能力なのか? しかしこの疑問に終止符が打たれてしまうのもそう遠い未来のことではないかもしれない。なんと「テレパシー」実験が既に成功していたのである。ほんの少し前に話題になったこの実験だが、改めて紹介したい。

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■脳から脳への情報伝達実験に成功!

 アメリカのオンライン科学誌「PLOS ONE」で8月19日に発表された研究論文によれば、脳神経学者や理論物理学者などの専門家らによる研究チームが脳から脳への情報伝達実験に成功したことが述べられている。約8,000キロ離れたインドとフランスにいる者同士が、心に浮かべた「挨拶」の言葉を直接接触することなく相手に伝えることができたというのだ。

「思考の中のメッセージを五感を使わずに2人の間でやり取りすることが可能であることを今回我々は実証してみせた。技術的にはまだ初期段階だが、この発見は我々の文明に重大なインパクトをもたらすだろう」と実験に参加したミシェル・ベーグ博士は「Daily Mail」の記事の中で語っている。

 もちろんこの実験は「超能力」には一切関係がない科学的なものである。ではその実験とはいったいどんなものだったのか――。

■決して「超能力」ではない

 今年3月28日に行われた実験では様々な複雑な機器が用いられたのだが、メインとなる機器は、じゅうぶんな性能を持ったパソコンとEEG(electro-encephalograph)と呼ばれる脳波測定装置、脳波を2進法コードに変換する「変換機」である。

 インド・ケーララ州とフランス北東部のストラスブール大学の2ヵ所で実験が行われのだが(2ヵ所の間の距離は実験には全く影響しない)、ここでは分かりやすくA(インド、アレジャンドロ・リエラ博士)とB(フランス、ミシェル・ベーグ博士)と呼ぶことにする。

 ますAはEEGを頭に被り、遠く離れた相手に向けて挨拶の言葉を念じる(リエラ博士はスペイン人なので"オラ"だろう)。そしてこの言葉を思い浮かべているときのAの脳波を、コンピュータ・プログラムの「変換機」で1と0で表される2進法コードに変換するのだ。これに要した時間は約30分だという。そして2進法コードに変換されたデータはBのいる実験室へ電子メールで送信される。

 一方のBは目隠しされ脳の後頭葉(視覚野)に電気パルスを送ることのできる装置をつけた状態である。Aから送られてきたデータをBの後頭部の付けられた装置に転送すると、この装置はデータを電気的なパルスに変えてBの後頭葉を刺激する。するとBは脳の中(周辺視野)で光の明滅を「見る」ことができたのだという。

 この実験はつまり、Aが思い描いていた情報(この場合は挨拶の言葉)を、五感を使わずに後頭葉への刺激だけで、Bの脳内で再現することができたということである。現状では、Aが念じたことが「挨拶」の意味だったことまではBにはわからない。しかし、この光の点滅を見ている時のBの脳波を再び2進法コードに変換し、アルファベットに当てはめて言葉に再現できるということだ。そのときにBはAが念じた情報の意味を言葉として理解できる。なんとその再現精度は90~95%であるという。

■人類が迎える新たな「脳コミュニケーション」時代

 今後この一連の過程が効率化され、「変換機」の性能が進歩すればもっと複雑なメッセージも短時間でやり取りできることになる。そして、この技術は少し考えただけでも極めて多方面にわたっての応用が期待できる。「おそらく今後20年でこの技術に基づく実用的なアプリケーションを開発することができるでしょう」とベーグ博士は語る。

 また他の研究者はこの技術は、脳卒中で動けなくなった患者や半身不随の人、「閉じ込め症候群(locked-in syndrome)」の人々を救うと考えている。なぜなら、脳の情報を他の機器に送ることによって、話すことや動くことが可能になるからだ。例えば脳の指令で動く義足などが考えられている。またベッドで寝たきりの昏睡患者ともコミュニケーションも可能になるかもしれない。

 しかしその一方、この技術の確立によって多くの倫理的問題が浮上してくることも避けられないだろう。犯罪防止のため警察がこの技術を用いて人々の心の中を読み取ったり、裁判で証言者が真実を話しているのかどうかを確かめるために使われることが予想されるし、あるいはまだ脳が死んでいない状態であれば殺人事件の死体からも直接話を聞ける可能性すらあるのだ。

「この技術の発見は新しい"脳コミュニケーション"時代の第一幕です。今後は、未来の脳コミュニケーション時代を規制するための新たな倫理基準と法律が整備されるでしょう」と、バルセロナ大学のチャールズ・グラウ博士は語っている。

 パソコンや携帯電話、スマートフォンなどは恐らく当初我々が予想していた以上の速度で進歩し瞬く間に普及してきた。この「脳コミュニケーション」技術も、いずれ加速度的な進歩と普及を遂げる時代がやってくるのだろうか。そこに夢の未来社会を思い描くと共に、一抹の恐怖も感じてしまうのは筆者だけではないだろう。驚くべき進歩を続けるコミュニケーション技術に今後も注目していきたい。
(文=仲田しんじ)

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