貧乏な悪魔の嗜好品「ミラス・オプロサン」 ― インドネシア版・危険ドラッグで相次ぐ集団中毒死

貧乏な悪魔の嗜好品「ミラス・オプロサン」 ― インドネシア版・危険ドラッグで相次ぐ集団中毒死

 日本で社会問題となっている「危険ドラッグ」。手を出したら最後、発狂の末に最悪の形の死が待ち受けているということは、今や常識である。だが、この危険ドラッグと同類の問題は日本だけではなく、筆者が往来しているインドネシアでも発生している。

 いや、ある意味では危険ドラッグよりもさらにデンジャラスなものが、インドネシアの都市部で「流行」しているのだ。最近インドネシアに渡航したことのある人なら、「ミラス・オプロサン(Miras Oplosan)」という単語を聞いたことがあるかもしれない。現在、インドネシア国民を恐怖のどん底に陥れている「貧乏な悪魔の嗜好品」である。

【その他の画像と動画はこちらから→http://tocana.jp/2014/10/post_4991.html】

■相次ぐ集団中毒死

 インドネシアは国民の大半がイスラム教徒である。従って、国内の酒の流通量は他のASEAN諸国に比べて少ない。もちろん、酒がまったく売られていないというわけではないが、物価と比較して値段が高いのだ。

 特に、ウイスキーやジンといったスピリッツ類は、そのほとんどが輸入商品である。コンビニで安いウイスキーが売られているタイやマレーシアとは違い、「蒸留酒は、富裕層の華僑か外国人が高級バーで飲むもの」というイメージが、インドネシアの庶民にはある。

 だがそれでも、強い酒に憧れているイスラム教徒はたくさんいる。戒律で飲酒が禁じられているといっても、やはりどこの国にも不良はいるものだ。

 そこで彼らは、値の張る輸入品の代わりに薬局で医療用アルコールを購入し、それをベースにしたカクテルを作る。これがミラス・オプロサンである。飲用にはまったく適さないアルコールに、ジュースやフレーバーを混ぜて飲むのだ。インドネシア人はパーティーが大好きな国民なので、そのまま地域の仲間と道端でたむろしながらこれを飲む場合が多い。

 だがそもそも彼らは、酒の飲み方を知らない人たち。ただでさえ飲用には危険な医療用アルコールを、ためらいなく一気に口へと流し込んでしまうのだ。もちろん、無事ではいられない。ミラス・オプロサンを囲むパーティーで、集団中毒死が各地で相次いでいる。1人、2人というレベルではない。一度に10人以上の死者を出すことなどザラなのだ。

 今月に入ってからも、ジャワ島中部の都市マゲランでミラス・オプロサンによる大量死が発生した。10月8日時点で、この飲み物を口にした12人が中毒死、5人が生死の狭間をさまよっている。

■より激しい興奮を求める若者と当局のジレンマ

 こうした事故、というよりも事件が去年から頻発している。インドネシア当局もミラス・オプロサンに手を出さないようにと啓蒙活動を行ってはいるが、抜本的な対策を未だ打ち出せないのが現実である。薬局での医療用アルコールの販売を禁止するわけにもいかない。さらに、インドネシアはジャムゥ(漢方)の国だ。コンビニでも精力強壮ジャムゥが売られている。それらをミラス・オプロサンに混ぜることで、より激しい興奮を得ようと考える若者も多い。

 日本当局も危険ドラッグ対策にかなり苦戦したが、それでも包括的規制にどうにか踏み切りつつある。だがインドネシア国民を蝕む「貧乏な悪魔の嗜好品」には、まだ誰も太刀打ちできていないのだ。
(文=澤田真一)

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