いわゆる"白人至上主義団体"、クー・クラックス・クラン(KKK)の最高幹部だった1人の男がカリブ海の小さな島で平穏に暮らしていることが報じられた――。
■アメリカの歴史に影を落とすKKKとは...
南部の木には 奇妙な果実がなっている
葉は血がしたたり 根っこは血を流す
黒い身体が南部の風にぶらぶら揺れる
奇妙な果実が ポプラの木々に垂れている
【動画はこちらから→http://tocana.jp/2015/03/post_6078.html】
ビリー・ホリディのヒット曲には、風にぶらぶら揺れる「奇妙な果実」が出てくる。これは、リンチされ吊るされた黒人の死体を意味する。このショッキングな光景は映画『ミシシッピー・バーニング』でもフィーチャーされているので、ご存じの方も多いだろう。筆者はこのシーンが長いことトラウマになっていた。
KKKが登場する作品はこれまでにも数多くあるが、いずれにしても人間の中にある「冷血」を嫌というほど思い知らされる。陽気なアメリカが口を閉ざす暗黒の史実なのだ。
KKKは、アメリカで結成された白人至上主義団体で、悪名高き秘密結社と認識されている。
19世紀半ば、南北戦争後のテネシー州で、白人退役軍人が「交友会」として結成したのが始まりといわれ、当初、白三角頭巾に白マントという異様なコスプレで黒人居住区を練り歩いては、脅かしてからかうといった嫌がらせを楽しんでいたという。しかし、その威嚇行動がいつの間にか南部のプア・ホワイト層から支持を集め、気がつけば黒人解放政策に抗議し、「黒人をしつける」集団に祭り上げられてしまったらしい。しかし、こちらは1869年に一旦解散を命じられている。
その後1915年になると、「神のお告げ」を聞いた白人伝道師のウィリアム・ジョセフ・シモンズによりジョージア州で復活、「第2のKKK」が誕生した。団員は「クランズマン」と呼ばれ、白人の中でもヨーロッパの北方人種(プロテスタント系アングロサクソン人、ゲルマン民族など)こそが、神に選ばれた民だと主張。その結果、従来の黒人差別のみならず有色人種全体に対しても徹底した迫害を行った。なかでも黒人に対する放火、リンチ、殺人が、日常的で凄惨を極めたのは周知の事実だろう。
1920年代のピーク時には600万人の団員がいたという。当時は連邦政府にも影響力を及ぼすほどで、州知事から判事、警官、FBIに至るまでKKKのメンバーだったというから驚かされる。また、その絶大な影響力を政治に利用しようと、後の大統領ハリー・トルーマンも一時期加入していたとされている。
だが、天下取りも長くは続かない。組織が大きくなればなるほど、団員たちの暴走は止まらなくなった。それまでKKKを容認してきたアメリカの保守層も、凶悪犯罪が重なるにつれ、KKKに対し距離を置くようになったのだ。さらに当時の指導者が殺人とレイプで有罪となったことが決定打となり、第2のKKKは一気に壊滅していった。
そして現在、KKKによるアメリカ全土にわたる影響力は崩壊したものの、今なお少数の残党が独自に活動を続けているというのがもっぱらの噂だ。
■消えたはずのKKK最高幹部がカリブの島に!
そんなアメリカのダークサイドへと沈んでいった忌まわしい暴力組織だが、ここにきて歴史の闇から急浮上してきた人物がいる。しかも、全く想像もしていなかったカリブ海に浮かぶ小さなリゾートアイランドに。彼の名は、ビル・ウィルキンソン。またの名を「インペリアル・ウィザード」といい、KKKの最高幹部にしてFBIお墨付きの「もっとも凶暴な男」だ。1984年、彼はKKKを辞任すると、ある日忽然と姿を消した。FBIに寝返った代わりに、新しいアイデンティティを与えられたという憶測も流れたが真相は闇の中となった。
英紙「Daily Mail」電子版によると、ウィルキンソン氏は現在、中米ベリーズのアンバーグリス・キー島でカリビアンライフを満喫しているという。アメリカ人観光客に人気のホリディリゾートだが、かつてはイギリスの植民地で18世紀には多くの黒人がアフリカから連れてこられた歴史がある。ベリーズは人口のほとんどを黒人とマヤ人が占めており、白人の英語圏出身者は、3,000人に満たない。ここでは白人が少数派なのだ。
現在72歳になるウィルキンソン氏はサン・ペドロという風光明媚な町に住み、ホテル経営をしている。仕事はスタッフに任せ、オーナーは日がな一日、泳いだり、散歩したり、ゲストとおしゃべりしたり......。2年前に妻を亡くして以来、ルイジアナ出身のブロンド美女との生活をエンジョイしていると聞く。従業員たちは、ボスの過去について多少知っているというが、あまりピンとこない様子だった。「ボスはいい人ですよ。ほとんど経営に口出しをせず、スタッフに優しいです」と微笑む。1977年にルイジアナ州で「KKKの透明帝国の騎士」を創始し、自らを「インペリアル・ウィザード」と名乗っていた彼のことは、島の人たちには遠い時代のお話なのだろうか。
今回のDaily Mailのすっぱ抜きに対し開き直ったのか、スクープの翌日にはDaily Mailの記者を散歩に同行させた。ウィルキンソン氏はインタビューに答えながら、顔見知りに出会うたびハグしてみせる。まるで自分がどれだけ島の人びとに溶け込んでいるかのパフォーマンスのようだ。
「私はレイシストじゃない、人種分離主義者なだけだ。黒人は嫌いじゃないよ。というか過去にも嫌ったことなんてない」と、実に不可解な言葉を発した。しかも、その舌の根の乾かぬうちに「自分の子供や孫たちは絶対、(黒人とは)結婚を許さない」と息巻く。矛盾だらけ。「(黒人の)中には、通りの向こうから叫びながら、三角頭巾のジェスチャーをしてみせる連中もいるんです。でも笑ってるわけだから......」笑っているから、何なのだろう?
最新情報としては、地元のウェブサイト「MyBelize.Net」が、ウィルキンソン氏の偽善に満ちたインタビューに対し、厳しい目を向けている。現在、時価3億円のリゾートホテルを売却し、自分とガールフレンド用にコテージを海辺に購入予定のウィルキンソン氏だが、身元がバレてしまって一体これからどうするつもりだろうか? 今後の動向が非常に気になるところだ。
(文=佐藤Kay)
※最高幹部だった頃のウィルキンソン氏 画像は「YouTube」より
KKK最高幹部、30年ぶりに姿が確認される→南の島で黒人に囲まれて暮らしていた!
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取材させて貰っといて高圧的な書き方だな
確かにKKKの思想は差別的で歪んだ考えだとは思いますが、記事の書き方が異様に高圧的でとても中立的な立場から書かれているとは思えませんでした。
最高幹部の発言には一貫性があるのに、”不可解だ”とか”矛盾だらけ”とか書くことが理解できない。 発言でなく、行動に対して指摘している? なんにせよ、プロの書いた文章じゃ無いように思える。