【不妊治療】ドナー卵子による出産、実は「産みの母親」の遺伝子が混じっていた!!(最新研究)

【不妊治療】ドナー卵子による出産、実は「産みの母親」の遺伝子が混じっていた!!(最新研究)

 苦渋の決断で卵子の提供を受けて妊娠・出産した子どもは、当然、産みの母親の血は受け継がれていないはずだ。しかし、最新の研究ではなんとお腹を痛めて産んだ子どもは、たとえ第三者からの卵子提供によるものだったにせよ、母体の遺伝子をある程度受け継いでいることが判明したという。これまでの医学の常識を覆す大発見だ!

■他人の卵子で妊娠した子どもに、産みの母親の遺伝子が伝わる

 不妊治療の最終手段といわれている体外受精だが、それでもなお子どもが授からない場合、片方の親との血のつながりを諦めて、第三者の卵子や精子の提供を受ける決断を下すカップルもいる。特に提供された卵子による妊娠・出産は、お腹を痛めても母体の側の遺伝子が子どもに引き継がれないことから、見方によっては大いなる悲劇であるという印象も拭えない。

 しかし先頃、他人の卵子で妊娠した子どもにも、産みの母親の遺伝子が伝わるという衝撃的な事実が、英・サウサンプトン大学の産科及び婦人科学のニック・マクロン教授によって発見された。そしてこのマクロン教授の知見をもとに、生殖医療研究のスペシャリストであるフィリペ・ビレラ博士と、カルロス・シモン博士の2人が主導して研究論文が作成され、医学誌「Development」に掲載されたのだ。

 論文を裏付ける研究は、20人の不妊治療歴のある女性を対象として、スペインで最先端の不妊治療クリニックである「IVI Valencia」病院で行なわれた。そして研究が導き出した結論は、子宮内の羊水は母体の遺伝子情報を含んでおり、胎児は羊水からDNAを吸収しているということだ。つまり羊水を通じて母体から胎児への遺伝子の転移が行なわれるのだ。

「これまで、ドナー卵子による出産は、母親が自分の遺伝子情報を我が子に伝えられないという悲劇を甘んじて受け入れることが前提でした。しかし今回の研究は、他人の卵子で妊娠したとしても、幾分かのDNAがお腹を痛めた子どもに伝わる原理が発見されたのです。そしてこの発見は、胎児の発育の詳細解明に大きな影響を及ぼすと思われます」

とマクロン教授は「Express」の取材に応えている。長年、不妊治療の現場に携わってきたマクロン教授は、以前からドナー卵子による出産でも母親の遺伝情報が受け継がれるという説を提唱してきたが、これでようやく堂々と(!?)、ドナー卵子による出産をした母親や、これからしようとしている患者たちに"安心"を与えることができると、喜びもひとしおのようである。また、以前からドナー卵子によって生まれた子どもであっても母親に似ているという例を何度も見聞きしており、今回の研究はその事実に対する説明にもなるということだ。

 やむにやまれぬ決断で卵子の提供を受けて妊娠・出産したものの、我が子が"自分の子どもではない"という思いを完全に払拭できずにいた母親にとっては、まさに晴天の霹靂のような歓迎すべきニュースだろう。しかし一方で、代理出産で生まれた子どもにも代理母の遺伝子が転移するということにもなり、こちらのほうは事情が複雑になりそうだ。今回の発見が、医学界の新常識となるのか、現時点ではまだ未知数としか言えそうもないが、我々の認識を新たにするビッグニュースであることは確かだろう。

■38歳を境に、女性の生殖能力は急激に下降していく

 このニュースを報じた「Daily Mail」の記事によれば、このほかにも、もうひとつスペインで今年初旬に不妊治療関連の見逃せない研究が発表されていたということだ。それは、44歳の女性の体外受精による妊娠は、39歳の女性よりも20倍の困難を伴うという発見だ。たった5歳の違いでこれほどの差が生じることは、これまた衝撃的な発見と言っていいかもしれない。

 この研究を行なったバルセロナのクイロン・デシェウス大学病院のマルタ・デベサ医師によれば、40代半ばの女性は、わずか1.3%しか不妊治療の効果がないという。しかし一方で、38歳と39歳では不妊治療によって23.6%が妊娠しており、確率は大きく跳ね上がるのだ。デベサ医師らは、38歳を境に女性の生殖能力は急激に下降していくと結論づけている。例外はあるものの、事実上、44歳以降の妊娠・出産はほぼ無理という認識が妥当ということだ。

 とはいえ、イギリスの実態では、専門医のもとで不妊治療を受けている患者の5人に1人は40歳代だという。つまり5人に1人のうち大半は、残念ながら医療費のムダ遣いに終わるということになる。

「加齢による妊娠率の低下についいて、一般の人々の理解が浅すぎると思います。高齢で妊娠出産した芸能人などがニュースになることもありますが、それは40歳代の人たちの救いにはなりません。セレブな彼女らがニュースになるまでに、何度、体外受精(場合によってはドナー卵子による体外受精)を試みてきたのか誰にもわからないのですから」(マルタ・デベサ医師)

 事実、スペインの不妊治療医院の4,195人の患者を12年にわたり追跡したデータを調べたところ、諦めずに体外受精を何度も繰り返している患者も少なからずいるということだ。

 ここで先のマクロン教授の発見に話が繋がるが、自分の卵子でなんとか妊娠しようとして歳を重ねて(40歳を越えて)しまうよりも、多少でも遺伝子が引き継がれるのであれば、さっさと卵子の提供を受けたほうがよいという判断もじゅうぶん妥当なものになりそうだ。生殖医療がめざましい進歩を遂げている中、出産をめぐる認識や考え方がいろいろ変わってきそうなニュースが続いている。
(文=仲田しんじ)

※画像は「YouTube」より引用

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