
新宿・歌舞伎町のストリップ劇場「T・Sミュージック」(岡野健太郎取締役)が閉店の危機にさらされている。発端は家賃の滞納問題だった。民事裁判に発展し、東京地裁では全面敗訴。今後は控訴審で審議される。ストリップ劇場は徐々に少なくなってきており、ファンからも閉鎖を惜しむ声が届いている。
T・Sミュージックは、新宿区役所の近くにあり、午前中から夜間まで、踊り子たちのステージが楽しめる。客は徐々に減少傾向ではあるが、中国やマレーシア、インドネシア、タイなど海外からの観光客で満席になることもあるという。所属している踊り子たちは日本人だけ。AV女優の永井一葉や遠藤悠美、芹沢直美(旧芸名、東千聖)、宮坂レイア(改名後、宮野ゆかな)らも登壇した。
新宿のストリップ劇場はT・Sミュージックのほか、新宿ニューアート、DX歌舞伎町の3軒だけになっている。
■水掛け論のまま進む弁論
「ビルがオープンした1年後に借りた。38年間、劇場として借りているが、こんなトラブルは初めて。東日本大震災のときに家賃を滞納したことがあったが、このときは話し合いで解決している」(岡野取締役)
閉鎖の危機に陥ったのは、家賃滞納がきっかけだ。岡野取締役の話では、家賃を遅延しながらも支払いを続けており、残り3カ月分になったときに契約解除を申し渡された。請求があったとき、岡野取締役から家主に対して「保証金から建て替えておいてください」と言ったとしているが、家主は「聞いていない」と、口頭でのやりとりはなかったことにされた。
保証金は家賃の40カ月分を納めているという。岡野取締役は「通常、ここまで保証金は納めていないと思う。その中から3カ月分を建て替えてほしいとお願いをしたが、言った・言わない、の水掛け論になってしまった」と話している。
契約解除という家主側の主張を全面的に認めた判決になっている。しかしなぜか、直接関係のないことも判決文に載っている。2013年1月、公然わいせつ容疑で摘発され、岡野取締役と踊り子たちが逮捕されたことがあった。また、警視庁にはT・Sミュージックに対して「このまま東京五輪が開催されれば日本の恥」という匿名の投書が寄せられていたというが、このことは、契約解除の間接的な要因として書かれてしまっている。家賃滞納が問題だったはずなのに、なぜ別の事が問題になるのか。
また、共用部分に物が置かれていることも指摘されているが、物が置かれているところは「バルコニー」として位置づけられている。また、消防署からの指導でも「避難路」ではないために、撤去までは言われていない。しかも、同様の部分には、1階でも3階でも物が置かれている。そのため、避難対策を怠っているとは現実的には言えないが、裁判所はこのことも問題視している。
こうしたトラブルについて、東京地裁で敗訴となった後、劇場としても、「判決文を見るとまだまだ、"ストリップは低俗かつ害悪であり、その劇場は廃止するべきだ"と底流に根強い偏見があったと言わざるを得ず、当劇場の努力だけでは如何ともしがたい窮状にあります」などと記した文書をホームページに公開した。これまでに署名は400筆以上集まっている。署名するだけに訪れる人もいたり、郵送で署名を送ってきたりする人もいるという。他の劇場でも署名活動をしてくれている。それだけT・Sニュージックが閉鎖するのではないかという危機感があるということだ。
踊り子のひとり、時咲さくらさんはデビュー以来、3年半のキャリアを持つ。月に2ステージ(※1ステージは10日間)、これまでに約70ステージに立っている。T・Sミュージックのほか、上野や渋谷、池袋、蕨、東大阪でも舞台をこなす。
「お客さんは真面目な人、楽しい人、愉快な人と様々です。そんな中、お客さんからいただく笑顔が一番うれしい。また会えたという喜びもある。本気で気持ちをぶつけられる喜びもあります。芸能は神様から頂いた贈り物。神様の祭りです。練習した成果であるパフォーマンスをみてもらう場、お姉さんたちが作ってきたこのステージがなくなるとすれば、正直、寂しい」
(文=渋井哲也)
※画像は、『昭和ストリップ紀行』(ポット出版)
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