【衝撃】イスラム国の残忍さは病気が原因? ― 普通の人間が突然、殺人鬼になる「邪悪症候群」

【衝撃】イスラム国の残忍さは病気が原因? ― 普通の人間が突然、殺人鬼になる「邪悪症候群」

 心優しい教養ある若者が、なぜカルトとも呼べる過激な反体制組織に入る決断を下し、その後凶悪なテロの実行犯になり得るのか――。これまでは貧困や格差、差別などに起因する社会問題と思われていたが、今、新たな視点からのアプローチが試みられている。人が残虐になるのは"病気"のせいであるという観点だ。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2015/11/post_8033.html】

■人を冷血な殺人鬼に変える「邪悪症候群」とは

 11月13日、死者130人以上にものぼったフランス・パリの同時多発テロ事件の衝撃で今、世界中がテロの恐怖に包まれている。オランド仏大統領は「フランスは戦争状態にある」と述べ、テロリスト組織との徹底抗戦の構えを見せて主要各国もそれに同調。日本を含め各国でテロ対策の強化が進められ、なんとも重苦しい雰囲気のまま年末年始へと向かっていきそうだ。

 昨年独立が宣言され、今も勢力拡大のための戦闘を繰り広げているイスラム教系過激派武装組織、自称「イスラム国」だが、戦闘のほかに実はリクルート活動のほうも活発である。主にヨーロッパから決して少なくない数の若者が組織に加わっている実態が明らかになっており、しかもその多くは穏やかな普通の若者たちなのだ。

 どうしてごく普通の若者たちが残忍な過激派組織に共鳴し、行動を共にするのか?

 もちろん社会への不満や義憤だけで人殺しを行う殺人犯も世には存在するが、これらの若者も"ナチュラル・ボーン"な殺人犯と同じく、実は腹の底に残忍な心を持っていた者たちなのだろうか? これを解明するための別の観点が再び注目されている。それは人が残忍になるのは「邪悪症候群(Syndrome E)」という症状によるものだという仮説である。

 1997年に米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経外科医であるイツァーク・フライド博士が医学誌「The Lancet」で発表した仮説は、普通の人間を残忍な殺人鬼へと変貌させる「邪悪症候群(Syndrome E)」という症状についての研究から導かれている。

 フライド博士によれば、脳の前頭前皮質で一種の認知的"損傷"(cognitive fracture)が起こることにより合理的な考えや判断ができなくなり、より動物的で野蛮な脳の部分(扁桃体)に思考や行動が支配されてしまうというのだ。こうして普通の人間が何の躊躇もなく人を殺す残忍な連続殺人犯に変貌すると説明している。

「邪悪症候群」に冒されると人は異常なほど宗教やイデオロギーに凝り固まり、教義などを強迫的に復唱し、暴力を軽く考えるようになり、情緒的な反応を示さなくなるうえ、身体が常に周囲を警戒する過覚醒状態になるとされている。

■深く宗教に傾倒している者ほど「邪悪症候群」に罹りやすい!?

 ではどうやって人は前頭前皮質を"損傷"してしまうのか?

 フランス・パリ高等師範学校のエティエンヌ・コエクリン博士らが2010年に行ったMRIを駆使した実験では、人間は2つの作業を同時に行うと判断に時間がかかりミスが増える傾向にあることが実証された。したがって基本的に人間は1つのタスクに集中すべきであり、3つ以上のタスクを同時に行うのはミスを大幅に増やし、非効率であるばかりでなく危険であることをこの実験は示唆している。

 過激派組織はたいてい深い帰依を求められる宗教やイデオロギーの旗の下で運営(!?)されているが、崇高な宗教上の理念を励行しながら日々の経済的な実生活を送るということは、常に2つのタスクを抱えていることになる(この場合聖職者は除くことになるが)。もちろん大半の"信者"は心の葛藤を招くような事態に直面することはあまりないだろうが、深く宗教などのイデオロギーに傾倒している者ほど宗教理念と実生活の間でダブルバインドに陥りやすく、その結果いろんな意味での"ミス"をおこしやすい状態にあるとはいえないだろうか。つまり、何らかの理念に深く傾倒していればいるほど、前頭前皮質の"損傷"を起こしやすく「邪悪症候群」に罹りやすいという仮説が成り立つのだ。

 またフライド博士によれば、「邪悪症候群」は環境への依存度を高め、集団に伝播するという。これによって過激な組織をより極端な行動に駆り立てるのだ。15歳から50歳までの男性が最も罹りやすく、しかもやっかいなことに「邪悪症候群」に罹患しても当人の記憶力や言語能力、計算能力といった知能は衰えないため、例えば用意周到に計画された犯行も遂行できることになる。

 そしてまたいったん人殺しを体験した「邪悪症候群」患者(!?)はその後、人を殺めることに急速に鈍感になっていくということだ。つまり殺人を何とも思わなくなるのだ。

 英科学誌「New Scientist」の記事によれば、フライド博士はまだ仮説であるこの「邪悪症候群」の兆候と症状は広く世に知られなければならず、発症の防止のためには教育が鍵になると述べている。フライド博士は乗り気ではないようだが、さらに研究を進めることで症状を投薬によって治療する道が拓けてくることも確かだ。「New Scientist」の記事では第二次世界大戦中のナチスの例も挙げて、この「邪悪症候群」を解説しているが、我々が想起するのはなんといっても1990年代のオウム真理教の一連の事件だろう。

 ともあれこの「邪悪症候群」はもちろん、今後のさらなる研究が必要とされる仮説だが、普通の人間を凶悪な連続殺人鬼やテロリストに変えるのは脳の機能障害が原因であるという視点が加わることは、問題を総合的にとらえる上で無駄なことではないはずだ。
(文=仲田しんじ)

※画像は「Wikipedia」より引用

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