奇習! 座敷牢の奥で暮らす頭巾の少女 ― 富豪の屋敷に隠された「秘密」

奇習! 座敷牢の奥で暮らす頭巾の少女 ― 富豪の屋敷に隠された「秘密」
       

 巷では昔から「一期一会」とはいうが、人の人生や出会いというものは、そうした一期一会をモノにできず、その後の人生において、人知れず思い悩むというケースもしばしばある。

 長野県の佐久市の中心部から、少しばかり車で山間部へと入った寒村で暮らす山崎孝三郎さん(仮名、88)は、少年の日に出会ったひとりの少女の姿が、また、その少女との出会いが、未だに鮮明に脳裏へと焼きついて離れず、思い悩む日々を送る“かつての少年”のひとりだ。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2015/12/post_8309.html】

「…座敷牢ってご存知ですかね。そう、あの、民家の奥まった場所に設けられた、私製の牢屋のことです。私はね、それを実際に見たことがあるんですよ」

 今を遡ること70年以上前の昭和12年頃、当時まだ少年だった山崎さんは、ある日、村の大人たちの間で密かに囁かれていた、村一番の富豪の屋敷に隠された「秘密」を、自分の目で確かめたいと思い、単身、潜入したことがあったという。

「いやぁ、こんなことね、平成も27年になって言ったところでね、まともに取り合っちゃくれないって、わかってるんですよ、私だって。だけどね、私は見てのとおりの年寄りですよ。あと何年生きられるか知れやしない。はっきりね、ものがね、言えるうちに、誰かにこのことを伝え…いや、単に聞いてもらいたいだけなんですよ、本当は。だから単なるじじいの与太話くらいに、聞いてくれればよいです…。

 そう、そのお屋敷ね。そら、大層ご立派なお屋敷でしたよ。3代前の主が米相場で一山当てたとかでね、それはそれは立派なお屋敷。そのお屋敷の奥にね、座敷牢があるって、私は聞いたものだから。どうしても確かめたくなりましてね…。はは、今にして思えば、くだらんことにばかり興味を持つ子だったんですよ(苦笑)」

 ある日、村で葬式が行われるため、村中の人間が自宅を留守にしていることを知った山崎少年は、意を決して、その屋敷へと潜入した。広大な敷地の中に、誰一人としていない状態。そうしたあまりに奇異な状況に、少年は今にも胸が張り裂けそうなほどの緊張感があったという。

「そらね、7つやそこらの子供でしょう? 怖いですよ、悪いことをしている気がしてたものだから。けどね、ちょっとずつ声を出してみても誰も出てくる気配がない。それなもんだから、私もだんだん度胸が出てきたというか、妙な気持ちになってしまいましてね。何を思ったか、その家の仏間に入っていって。ナニを取り出して小便なんかしてしまいましてね(苦笑)。なんか征服した気になりたかったんでしょうね、昔の子供はそういう馬鹿げたこと、よくやったものです」

 はからずもそんな“妙なテンション”になってしまった山崎少年は、そのまま屋敷の中を探索してみることに。すると、台所の奥に、外から見ると建て増ししたような不可思議な部分があることに気づく。そこで再び内側からそこを調べていくと、人ひとり入れるかどうかという程度の不自然な戸があることを発見した。

「いやあ、なんていうんでしょうかね、茶室のにじり口みたいなものと言えば通じるかしら。そういうのがありましてね。床が鳴るたびに怖気づきながら、その戸を開いて、中へ入ってみましたよ。するとね、そこから窓もないような暗い廊下が奥まで伸びている。それでね、私は四つんばいのままに進んでみたんです。…したら、奥に格子戸があるじゃないですか。要はそれが噂の座敷牢だったわけなんです」

 大人たちが日々密かに噂していた座敷牢をついに発見した少年は、その格子戸に手をかけながら、おっかなびっくり中を覗き込んでみる。すると、その奥には何やら人の影があった。彼は思わず声を失ってしまったという。

「年恰好からすれば、私と同じくらいの子だったんじゃないですかね。といっても、頭からね、頭巾をかぶされてるんですよ。目のところだけふたつ穴の開いた。でも、服装がね、女の子だったから、たぶんあれは女の子なんです。お手玉かな、なんかそうしたものが、その子のそばに2、3個転がっていたのを今でも覚えてます、紅いやつが」

 あまりに突然のことにどうしてよいものかわからなくなってしまったという少年は、声をかけることもなく、また何か身振り手振りを交えてコミュニケーションをとることもできず、そのまま四つんばいのまま、後ずさりするように、廊下を引き返し、屋外へと飛び出すと、そのまま一目散に屋敷を後にしたという。

「その後ね、私もなるべくそのことを思い出さないようにして、大人になって。けども、あれは私が14、5の頃だったかな。誰も詳しいことを言わない謎の葬式がね、村で行われたんですよ。それで、集落の外れにあった共同墓地のね、かなり離れた場所に、小さな墓ができて。当時は土葬でしたからね、体の大きさである程度、その山が大小するのだけども、あれは小さかったから絶対に子供の墓なんです。

 だけど、近所の子で姿の見えない子なんていやしない。だからね、私はね、誰も大人たちは言わなかったけども、それはね、私が会ったね、あの座敷牢の中の子だったんじゃないかって、今でも思っています」

 以前も少し触れたが、かつて日本各地では、障害を負った子供が生まれると、山崎さんが見た座敷牢の中の子供のように、屋敷の奥深い場所へと隠匿し、その命が尽きると、密かに埋葬するという実に非人道的な習慣が存在していた。無論、今のこの時代に住む我々が、当時の人々の行いを責めることはできない。だが、そうした“なかったこと”にされていたものであっても、人の記憶までも消し去ることはできない。

「私はね…頭巾の中に見えたうつろな目が、どうしても頭から離れなくて。あの時、私にもう少し度胸があれば、今、私が夜毎にうなされることも、なかったかもしれないですけども…」

 そう遠い昔の記憶に思いを馳せつつ、悔恨の情を滲ませるかつての少年。もしかすると彼のような体験をした少年少女は、思いのほか、多く存在しているのかもしれない。
(文=戸叶和男)

※イメージ画像:「Thinkstock」より

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「奇習! 座敷牢の奥で暮らす頭巾の少女 ― 富豪の屋敷に隠された「秘密」」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    もしかしたら今でいうダウン症児とかだったのかもしれませんね。 当時はそれが当たり前だったのかもしれませんが、その子がもう少し後の時代に産まれていたらと思うと心が痛みます...。

    8
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2015年12月19日のびっくり記事

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