男女平等を訴え、女性の社会進出が珍しくなくなった現代社会だが、開発途上国や最貧国にはいまだ女性が言論の自由さえ与えられず奴隷のように扱われている地域もある。今回は苦しい状況から抜け出すために、あることを行い、自由を手に入れた女性たちを紹介したい。
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■権利を得るために過去と決別する生き方とは!?
東ヨーロッパのバルカン半島南西部に位置するアルバニア北部のとある小さな村には「男性として生きる女性たち」という風習がある。
これはアルバニア北部や周辺国のコソボで15世紀から20世紀まで続いた風習なのだという。宗教活動の一環ではないとしているが、ローマカトリックやイスラム教を含む多くの団体がこれを受け入れているというから驚きである。
21世紀の現在も、ある地域では女性が親族の決めた男性と結婚するという慣習があるが、アルバニア北部の村ではそれだけではなく、以前は女性が車の運転や飲酒、喫煙することを禁止し、また商売を営むことや土地を所有すること、選挙の投票も許されず、多くの施設への立ち入りを禁止されているほか、腕時計を身につけてはいけないなどという、とんでもない決まりまであったのだという。
女性に生まれたというだけで人間としてのあらゆる権利を奪われ、男性の陰でひっそりと生きた人々の生涯は想像し難いものであっただろう。この厳しい環境から抜け出すために女性であることを捨て、残りの生涯を結婚せず自身の家族も持たず、性交渉もしないという誓いを立てて男性として生きていく人々を「宣誓処女」(Sworn Virgin)と呼んだ。中には一家に男児が生まれなかったため、財産を守るべく一家の女性1人が宣誓処女になるというケースもあった。
■男性になるためにしなくてはならない決まりとは?
女性が「宣誓処女」になるには周辺の村や集落の長老の前で誓いを立て、髪を短く切り男性用の服に身を包み、煙草を吸いながら男らしく振舞う。身のこなしが男性らしく見えるようになるまで日々練習をするのだ。誓いを立てた後に男性名に改名する者も多く、残りの人生をその名と共に誰とも結ばれることなく生きていくのだ。
宣誓処女であるということで、村人たちからは敬われ男性と同様の権利を得られるが、いかなる事情があっても誓いを破ることは許されない。誓いを破るという行為は重罪であり、以前ならば死をもって償うとされていたが、近年はそこまで厳しくはないようだ。しかし誓いを破れば当然、それまで所有していた権利は奪われ、周囲から拒絶されるというこの地域で生きていくには極めて厳しい罰則が待っている。
■誰にも縛られず自らの意思で生きる宣誓処女たち
2014年、北アルバニアの山間部に住む宣誓処女たちを撮影した映像が公開された。現在、記録に残る宣誓処女の多くは70歳を超えており、失われつつある風習と思われがちだが、宣誓した当時42歳のリュメさんもこの村で男性として生きている。
彼は自らの意思で誓いを立て、現在の暮らしを「誰にも頼らず自分だけで生活できることに喜びを感じている」と述べる。そして「この村に住む女性たちは苦しみぬいて生きてきた。もしも私のように男として暮らせるならばあなたは自由の身だ。この人生は美しく、素晴らしいものだよ」と語る。
宣誓処女という男性として生きる彼らは村でとても敬われている。彼らは私たちの想像をはるかに超える強さとプライドを持っているのだ。しかしこの風習が現在も受け継がれているということは、裏を返せば女性の暮らしには苦しいものがあることを意味する。いつか「宣誓処女というものがあったのだ」と語り継がれるだけのものになることを心から願う。
(文=清水ミロ)
※イメージ画像「Thinkstock」より
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