性犯罪者は相手が喜んでいると思っている? サイコパス、オカルトについて犯罪心理学者が語る!

性犯罪者は相手が喜んでいると思っている? サイコパス、オカルトについて犯罪心理学者が語る!

 東京未来大学こども心理学部長・犯罪心理学者・出口保行教授シリーズもこれで最後。今回は、トカナならではの質問を投げかけていく。

■日本にサイコパスはいるのか?

――どうやっても更生できない人たちとは、いわゆるサイコパスでしょうか?

出口「私から見て、ほとんどの犯罪者はサイコパスではないですね。それに、サイコパスなんて、ほぼいないです」

――サイコパスなどいないと?

出口「いますよ。だけど、犯罪者のなかに多い存在ではない。非常にまれな例です」

――私、サイコパステストでサイコパスと診断されたんですよ!

出口「自己診断なんてしたら、みんないくつ病気を持っているかわかりません。そんなものなんですよ。DSMというアメリカ精神医学会で作られた国際的な『心の病の診断基準』があるのですが、それをちゃんと資格を持っている人が判断するなら正確かもしれませんが、自分でチェックしたって無駄です。『周りの10人のうち3人がサイコパス』みたいな結果になりかねないですから」

――最近は、更生しない犯罪者は脳に異常があるからという説もあり、脳に電気信号を送って治すなど、更生に最新のテクノロジーを使う方法があると聞きましたが?

出口「昔から、そういうことはよくやっていますよね。でも。それが実証的にこうやったら絶対に良くなりますと証明されていませんからね」

――「佐世保女子高生殺害事件」、「老女惨殺名古屋女子大生事件」の容疑者は、サイコパスだと言われていますが、先生から見るとそうではない?

出口「サイコパスとは思わないです。この子たちも極端に自尊心が低いことの現れだと思う。サイコパスという言葉自体が簡単に一人歩きすることが、とんでもない時代ですよね。『サイコパスのことをちゃんと知っているんですか?』って思います」

――じゃあ、どうやっても更生できない人というのは極端に自尊心が持てない人だということですか? それとも、環境によるものとか……?

出口「そうですね、環境は、とても大きいです。先々に少しでも光が持てるような環境であれば、自分が変わることによって何とかなると思えるからいいんです。だけど、恵まれていなくて希望がまったく持てない場合もありますからね。ただ、ひどい家庭環境はいくらでもあるけれど、全員犯罪者になっているわけではありません。ひどくてもそれをバネにしている人たちはたくさんいる。それをどう受け入れられるのかの問題で、本人が受け入れられなければやっぱりダメなんですよ」

――うーん、でもサイコパスが気になります。

出口「タイプはあるけれど、そんなに多くはありません。私が勤務した宮城刑務所なんて日本の重大犯罪者だけ集めている刑務所で、入っているのは殺人や無期懲役ばかり。じゃあそういう所にいるのはサイコパスだらけかというと、そんなことはないんです。とにかくサイコパスの頻度は高くないと思います」

――まれに現れるサイコパスについてお伺いしたいのですが……。

出口「日本ではあまりいないんじゃないかな。少なくとも出会ったことはない」

――日本では出会ったことがないということは、海外にいるシリアルキラーとかがサイコパスなんでしょうか?

出口「……という風に言われていますよね。しかし、自分が面接したわけでもテストしたわけでもないので何とも言えない。特徴的にはたぶん、そうかもしれません。だけど、分析してからでないと、何とも言えませんね」

■『レイプ神話』とは?

――性犯罪は再犯率が高いんですね

出口「性犯罪の更生できない理由のひとつに、歪んだ認知を自覚できないということがあります。たとえば、性犯罪者には、『レイプ神話』というものがあるんです。つまり、相手も犯されることを望んでいるんだという考え方。普通の犯罪者というのは、『犯罪欲求がこんなに高まったのに何もできないからこういう犯罪をしてしまった』というように合理化をするんです。だけど、強姦をする性犯罪者は全然合理化とかではない。『相手が望んでいるんだ』というのが基本にあるんです」

――とんでもないですね!

出口「法律的に悪いことだというのは分かっているんですよ。だけど『とか何とかいっても、相手も喜んでいる』というやつがすごく多いんです。強姦なんて10件やったら、10件とも被害届が出ないような犯罪なんですよ。女性の方も恥ずかしいし、こんな目に遭ったというのを人に言いたくないから警察に届けないケースも多い。だから犯罪者がさらに都合良く『ほーらみろ。やっぱり何にも言わないやつがいるじゃん』という風に考えてしまうんです。つまり、女性に対する認知が歪んでいるんです。その認知を変えないといけない。『女性というのは男性と対等で人格があり、そういうことは望んでいないんだ』というように、認知を変えないといくら説教しても何も変わらないんですよね。

 日本は今、認知行動療法という心理療法を刑務所のなかで使って、性犯罪の再犯防止に対応しているんです。海外では、GPS(全地球測位システム)を装着させて監視したりするとか、薬物を投与して科学的に去勢したりしている国があります。日本では、そういうことはやっていないので、国によって犯罪者の対応の仕方も違うんですよね」

――認知行動療法の効果は出ているんですか?

出口「すぐには結果が出ないから、まだハッキリとは分からないです。あと1、2年経たないと実証されません。性犯罪者の認知が歪んでいるなと感じるのは、面接しているとレイプの話しをしているだけで、目がキラキラギラギラしてきますからね。興奮状態になっているのが手に取るようにわかるんです。刑務所にまで入っているというのに……。そこまで認知が歪んでいると変えていくのが大変。とにかく時間がかかります」

■オカルトやカルトにはまる人たちの特徴とは?

――悪徳スピリチュアルや占い、カルトに傾倒してしまう人の特徴はありま すか?

出口「カルト系宗教などに絡め取られてしまいやすい人の特徴は、非常に自尊心が低い人たちです。少年院は自尊心が低いのをポジティブに変えていくことで更生できるわけでしょう。だけどその方法をカルトに使われたら、組織にガッツリ取り込まれてしまうんです。『今まで自分はこういう人だと思っていたのに、違う面を見つけてくれた』という風になって、視野が狭くなるんです。まるっきり同じ理屈をネガティブかポジティブにするかの違いです」

――なるほど。では、テロリストの心理状態についても説明していただけますか?

出口「さっきのカルト系宗教の問題と同じですよね。オウムのようなカルト系って求心力が強い集団だから、何が正義かというのを植え付けられてしまうと、もうそれしかないと視野が狭窄してしまうんです。あとから考えれば、テロ行為をしたらとんでもないことになるとわかる。けれど、その時点では完全に視野が狭窄してしまうというのが、カルト系やテロリスト含めての特徴ですよね」

――オカルトや陰謀論を信じやすい人の特徴はありますか?

出口「オカルト系は、あまりよくわからないですね。あなたたちの方がよく知っているんじゃないの?」

――笑。信じやすいという意味では、心の優しいいい人たちが多いです。

出口「何のために信じているの? 私達は学者だからエビデンスがないと分からないことを言えない立場なので。逆に分からないんですよね、そういう感覚が。あったらもっと楽しいんだと思うんだけれど。そういうのがないし、ないようにずーっと訓練されているので」

――なるほど。オカルト信じている人たちは、疑わないというか……・

出口「疑わないってどういうこと? 人が良いってこと?」

――そうですね。でも決して頭が悪いわけではありません、優秀な人もたくさんいます。

出口「じゃあその信じやすさというのがあって、その信じやすさは何が背景なんだろうね」

――たしかに「無知ゆえに信じる」という単純なケースもあります。たとえば「水にありがとう」と言ったら「水がおいしくなる」とかいうのは科学的にはありえない。だけど、それをフワッと信じてしまうというのは、知識がなかったり、催眠にかかりやすかったりする可能性もあると思います。

出口「だけど、私達だってそういうのを信じますよね。たとえば、神社にお参りしますが、神社に行っても行かなくても科学的には人生変わらないかもしれない。だけど、私だって初詣は行きますし、そういったことと大して変わらないんじゃないでしょうか。極端に信じるか信じないかだけの違い。ようするに重み付けの話しじゃないのかな」

――オカルトを信じている人は、自尊心が結構高いのかもしれません。全部の事象を肯定的に、いわゆるポジティブにとらえていく傾向があるとは思います。

 オカルト好きは自己肯定感が高いということなら、犯罪者にはなりにくいということか。これは、犯罪心理学者・出口教授と語ることで導き出された意外な結果だった。犯罪心理の話しは多岐に渡り奥深い。今回だけでは描き切れなかったことがたくさんあるので、また機会があれば出口教授にインタビューしたいと感じた。
(取材・文=白神じゅりこ)

※イメージ画像:「Thinkstock」より

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