これまで、女性のオーガズムは生理学上の大きな謎とされてきた。というのも、女性はオーガズムがなくとも生殖可能だからだ。生物的に役に立たないから不要とは、いささか乱暴な物言いだが、なんと最新の研究によって、やはり女性のオーガズムは生理学的に不要だと結論づけられてしまったというのだ。
■女性のオーガズムは「設計ミス」
まずは、研究者がどれほど女性のオーガズムに困惑しているかみてみよう。
「女性は、性行為でオーガズムを感じなくても、容易に妊娠することができ、実際に妊娠している。また、オルガスムが受精、出生率、妊娠に影響を与えるという証拠はない」(米生物哲学者エリザベス・ロイド)
「一般的には、オーガズムは性行為を促し、性行為の報酬であるとされているが、オーガズムを感じない場合もあることからすれば、それは設計ミスだというべきだ」(同)
「設計ミス」とは、なんとも冷やかな発言だ。つまり、それだけ女性のオーガズムは科学的・合理的に説明できない摩訶不思議な現象だということだろう。
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このように、一流の研究者も頭を抱える「女性のオーガズム不要問題」であるが、遂に米イエール大学の研究チームがその謎を解明したと、8月1日付の英紙「Daily Mail」が報じている。詳しくみてみよう。
通常、女性には排卵周期があり、“自動的に”排卵が行われる。しかし、多くの哺乳動物(例外は、犬、牛、ねずみ等)は自動的な排卵を行わず、性交時に特定のホルモン値が上昇することにより、オーガズムが引き起こされ、排卵に至るそうだ。このホルモンには「快感ホルモン(feelgood hormones)」や、「愛情ホルモン(オキシトシン)」が含まれているという。
このことから研究チームは、古代では、哺乳動物と同じように人間の排卵にもオーガズムが必要だったのではないかと考えた。さらに、進化に従って生殖にオーガズムが不要になるにつれ、女性器にも変化が生じていった可能性があるという。
研究者らによると、月に1度の排卵周期が定着するにつれ、古代女性と比べた場合、陰核の位置が徐々に生殖器の内側に移動していったという。そのため、性交時に陰核が刺激を受けづらくなり、オーガズムに達する機会も減っていったそうだ。
■女性のオーガズムは進化上不要になった
研究チームのギュンター・ワグナー教授は、女性のオーガズムが不要になったのは進化の結果だという。
「女性が性交時にオーガズムに達しないのは自然なことです。つまり、進化の歴史からみて自然な結果ということです」(ワグナー教授)
「女性のオーガズムは自然ではないのです。ですから、女性がオーガズムを得るためには特別な努力が必要となります」(同)
「ですから、性交時に女性がオーガズムに達しないとしても、それはその女性自身やパートナーに何か問題があるというわけではありません」(同)
つまり、女性のオーガズムは進化上不要になった“化石”だから、あってもなくても良いということだろう。以上の結論を踏まえると、将来的に女性がまったく性的快感を得なくなる可能性も無いとは言い切れない。
なんともドライな結論になってしまったが、一方で「女性オーガズム必要論」を唱える研究も存在する。いくつかご紹介しよう。
1、女性のオーガズムはたとえ生殖自体に関与しないとしても、その快感が性交機会を増やし、生殖を促す。
2、女性のオーガズムは、パートナーとの絆を深め、より多くの子孫を残す可能性を高める。
3、女性が性的満足に基づいて男性を選択するという「配偶者選択仮説」。性的な満足を与えてくれる男性は、往々にして健康な精子を提供でき、より多くの子孫を残すことができる。
このように、今回の研究では女性のオーガズムは生殖上不要と結論されたが、その社会的な役割までは否定されていない。いずれにしろ、女性のオーガズムについては、まだまだ分かっていないことが多いのが現状だろう。今後の研究に期待したい。
(編集部)
※イメージ画像は、「Thinkstock」より
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