【平成生まれの死刑囚と面会】ニュースで報じられない衝撃の告白の数々 ― 実は「殺人の記憶がない」石巻3人殺傷事件

【平成生まれの死刑囚と面会】ニュースで報じられない衝撃の告白の数々 ― 実は「殺人の記憶がない」石巻3人殺傷事件

 2010年2月に宮城県石巻市で起きた3人殺傷事件で、殺人罪などに問われた千葉祐太郎(25)は今年6月、最高裁に上告を棄却され、確定死刑囚となった。平成3年生まれで、犯行時は18歳7カ月。新聞やテレビでは、裁判員裁判で初めて出た少年事件の死刑判決が確定したとして大きく報道されたが、実は裁判では、事実関係に大きな争いがあった――。

【その他の写真はコチラ→http://tocana.jp/2016/11/post_11453.html】

■意外な言葉

「俺自身も事件のことはよくわからないんですよ」

 2014年の夏、仙台拘置支所の面会室。この日初めて面会に訪ねた筆者に対し、祐太郎は意外な言葉を口にした。

【事件概要】

 事件発生はこの4年半ほど前に遡る。2010年2月10日早朝、後輩の少年(当時17)を引き連れ、石巻市にある交際相手の女性A子さん(同17)の家に上がり込んだ祐太郎は、家にいたA子さんの姉(同20)やA子さんの友人女性(同18)を持参した牛刀で刺殺。さらにA子さんの姉の知人男性(同20)に対しても胸を刺して重傷を負わせた。そしてA子さんを車で連れ去ったが、約6時間後、あえなく警察に捕まったのだった。

 裁判の認定によると、祐太郎とA子さんはそれ以前、一緒に暮らした時期があり、2人の間には生後4カ月の娘もいたが、A子さんは祐太郎から激しい暴力を受けており、別れを決意して実家に戻っていた。そこで祐太郎はA子さんを連れ戻すべく、交際に反対するA子さんの姉らを殺害したとされていた。

 筆者が初めて面会に訪ねたのは、すでに第一審の裁判員裁判と控訴審が終わり、残すは最高裁のみになっていた時期だった。

 社会の注目を集めた事件を取材してみると、先行報道や裁判の結果から抱いたイメージが覆されることは少なくない。祐太郎の場合も会ってみると、事前にインターネットで見た写真より顔つきが穏やかになっており、背も思ったより低かった。それにしても、あれほどの大事件を起こしながら、「俺自身も事件のことはよくわからない」とは、一体……。

 戸惑う筆者に対し、祐太郎はこう言った。

「俺、事件の時の記憶が無いんです」

■記憶が無い事情

 筆者はこの日から2年ほど、祐太郎と面会や手紙のやりとりを重ねた。この間、祐太郎が語った事実関係は裁判の認定と色々異なっていたが、とくに大きく異なっていたのは「殺害の計画性」に関してだ。裁判の認定では、祐太郎はA子さん宅を訪ねた際、「邪魔する者がいたら殺そう」と考え、牛刀を持参していたとされるが、本人は次のように言う。

「包丁(牛刀)は誰かを殺すためじゃなくて、姉ちゃん(A子さんの姉)に邪魔されそうになったら脅すつもりで持っていたんです。今思うと、包丁で脅かそうという発想自体がやばいですが、俺、あの時、眠っていなかったんです」

 そして、事件の時の記憶がない事情はこうだという。

「姉ちゃんが携帯で警察に通報したところまでは覚えているんです。そこから先は頭が真っ白になっちゃって……」

 これらはあくまで被告人の主張に過ぎない。しかし調べてみると、この主張を裏づける事実が意外と揃っており、筆者はおおいに頭を悩ませた。

 たとえば、「共犯者」とされた後輩の少年は、第一審の公判で「被害者宅に行った際、祐太郎は最初から殺害目的だった」と証言していたが、再び証人出廷した控訴審で「本当は、祐太郎は殺害までは考えていなかった」と証言を覆している。少年によると、取り調べで捜査官に「被害者のことを考えろ」と言われ、第一審までは本当のことが言えなかったという。

 また、3人を殺傷した記憶がないという祐太郎の主張については、複数の情状鑑定に裏づけられていた。

 まず、精神科医は犯行時の祐太郎について、「警察に通報されるという予想外の事態が起き、自律神経症状と記憶欠損を伴う系列の暴力が生じたと考えられる」と結論。また、臨床心理士によると、祐太郎は犯行時、自分が自分であるという感覚が失われる「解離性障害」に陥っていたという。こうした障害はいじめや虐待を受けた経験と因果関係があることが知られるが、祐太郎も幼少期に母親に虐待やネグレクトをされており、鑑定結果には相応の説得力があるように思えた。

 祐太郎が何の落ち度もない2人を殺害し、他にも1人に重傷を負わせたのは紛れもない事実だ。とはいえ、犯行の悪質さについては、捜査機関により話を盛られているのではないか……。筆者は取材を重ねるほどにその思いが強まり、複雑な気持ちにさせられたのだった。

■「虐待があったから強くなれた」
 
 もっとも、祐太郎本人に悲壮感はなかった。自分が死刑判決を受けていることについても、「俺は死刑制度に反対していないし、死刑が意味のないことだとも思わないんですよ。それに自分がしたことについて、死刑にすべきか否かというのは俺が言うことじゃないと思うんです」と達観したように言っていた。

 また、面会の際には事件と関係ない雑談もけっこうしたが、祐太郎が何より楽しそうにしていたのが「東京の話」をしていた時だった。A子さんが妊娠した際、周囲に出産を反対され、2人で東京に駆け落ちしたのが懐かしい思い出なのだという。

「東京では最初、ネットカフェに泊まったんですが、4日目以降は節約のためにコインランドリーに泊まったんですよ。そうしたら警察に補導されちゃったんです」

 そういう話をする時の祐太郎は実年齢より幼く思えたが、一方で自分の考えにこだわる頑固な一面も持っていた。たとえば、最高裁に提出した上申書には、事実関係の主張のみを書き連ね、被害者への謝罪や反省の思いを一切書いていないのだが、それも祐太郎のこだわりだ。

 祐太郎いわく、「謝罪や反省の思いは被害者や遺族に伝えることで、裁判所に伝えることじゃないと思うんです」とのことだが、謝罪や反省の思いを裁判所に伝えなければ、「反省していない」と受け取られる恐れもある。弁護人にもそう言われたようだが、祐太郎は自分の考えを曲げなかったのだ。

 祐太郎は虐待やネグレクトなどの不遇な成育歴を同情されるのも好きではないようで、こんなことも言っていた。

「『かわいそうな子』みたいに言われるのはウンザリなんですよ。むしろ虐待があったから、強くなれたと思っていますし」

 しかし、よくよく話を聞いてみると、祐太郎の成育歴は事件と無関係とは思いがたかった。

■「ビンタは3発目から暴力になると思っていた」

「俺、A子に暴力をふるったとは思っていなかったんですよ」

 祐太郎がふいにそんなことを言ったのは、最高裁の判決が間近に迫った時期のことだ。A子さんに暴力をふるっていたことは祐太郎本人も認めていた事実だけに、すぐには意味がわかりかねたが、こういうことだった。

「当時は俺、ビンタだと1発では暴力にならないと思っていて、3発目から暴力になるという感覚だったんです。自分が子供の頃、暴力が身近にありすぎて、感覚が一般の人と違っていたんですよ」

 実は裁判では、A子さんのほうからも祐太郎に対し、殴る蹴るの暴力をふるっていたことが明らかになっている。2人はいわゆる「共依存」の関係だったようなのだが、一般の人間には理解しがたい特異な人間関係の中で起きた事件だったとも言えるかもしれない。

「子供の頃、自分が大人になって家族を持ったら、自分のような家庭には絶対したくないと考えていたんです。でも、自分の娘には、結果的に自分よりはるかに厳しい状況にしてしまって、自己嫌悪になりますね」

 祐太郎はしみじみそう言っていたが、祐太郎の娘は犯罪被害者の遺族であり、犯罪加害者の娘でもある。やがて分別がつく年齢になった時、自分に父親がいない理由について、彼女は誰からどのように教わるのだろうか。

「娘が今どんなふうになっているのか、写真だけでも見たいですよね。俺とA子、どっちに似ているだろうかと思いますよ」
 
 そんな話をしたのが、祐太郎との最後の面会だった。この20日後、最高裁は祐太郎の上告を棄却し、死刑を確定させた。その判決文はわずか3枚で、祐太郎が提出した上申書については何も触れられていなかった。
(取材・文・写真=片岡健)

※写真は、祐太郎が死刑囚として収容されている仙台拘置支所

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「【平成生まれの死刑囚と面会】ニュースで報じられない衝撃の告白の数々 ― 実は「殺人の記憶がない」石巻3人殺傷事件」の みんなの反応 3
  • 匿名さん 通報

    ベトナム人少女誘拐殺害の渋谷。川崎国リンチの船橋。静岡バラバラ殺人の川崎。それとこの事件。鬼畜をはるかに越える残虐残忍殺戮事件をやらかすやつらって、やっぱ背乗りが一番多いトンキン地方のやつらだな。

    3
  • 匿名さん 通報

    ↓これのどこが背乗りなんだ??コメントしてるやつ、バカか?w 正真正銘の日本人の事件でしょw

    3
  • 匿名さん 通報

    ああ、そいつは正真正銘のバカだ。間違いないww

    3
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