「ウンチから火薬ができる」は本当だった! 糞尿を燃やした藁と混ぜて、重ねて… 驚異の細菌パワー!!

「ウンチから火薬ができる」は本当だった! 糞尿を燃やした藁と混ぜて、重ねて… 驚異の細菌パワー!!

――ヘルドクター・クラレが化学の疑問に答えます!

 漫画『ドリフターズ』で、糞尿から火薬を作るという話が出てきますが、本当にできるのでしょうか?

 今回は、普通の化学の話の題材として「火薬」を取り上げてみようかと思います。

 火薬とは、皆さんも知っての通り花火の主成分であり、かれこれ何百年にわたって近接戦で最強の武器であり続ける「銃」の推進エネルギーの素です。鉄の筒に飛翔体(石でも鉛玉でも)が入っていて、その根元に火薬が入っていれば、もうそれは立派な銃です。火縄銃なんかは、当たれば致命的ですが、その適当な構造から命中精度はあまり高いとはいえませんでした。しかし近代の銃は、弾丸を回転させたり、火薬の性能を高めたりと、どんどん高性能になってきたわけです。

 たとえ3Dプリンターで銃が印刷できても、弾がなければただのプラモデル。そして弾は、仕組み自体はレトロでも、極めて効率的かつ緻密に作られており、DIYで簡単に作れるものではありません。故に、銃を3D印刷しても、弾が手に入らない国ではまず滅多なことでは脅威にはならないわけです。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2016/11/post_11557.html】

■火薬の歴史

 閑話休題。話が銃に逸れましたが、銃を銃たらしめているものが火薬であって、火薬を火薬たらしめているのが酸化剤である硝石といえます。

 紀元前200年ごろ、秦の始皇帝が神仙思想より発展した道教の中で不老不死を研究させた「煉丹術(れんたんじゅつ)」の課程で、強い酸化剤として作用する硝石を発見しましたが、当時はまだ火薬としてではなく、漢方薬の1つの成分として研究されているにすぎませんでした(硝酸塩なので実際に血管拡張などの作用がある)。

 その後、8~9世紀の中国で、硫黄や黒炭に硝石を混合することで、小さな炎で爆発が起こる「火薬」が発明され、世界に広まっていったとされています。

 文献には「硫黄、硝石、炭、鶏冠石(ヒ素化合物)の混合物がたやすく発火する」という記述が残っており、この技術自体は8世紀初期に見出されており、次第に鶏冠石からより安全安価な硫黄へと置き換えられていったようです。

 ちなみに、花火が日本に伝わったのは1500年代末で、唐から伝来したと考えられています。当時の花火は、現在のドラゴン花火のようなものを大型化したようなもので、現代では長野の火祭りなどで使われているものに近い感じです。

 徳川幕府が開発を後押ししたこともあり、江戸末期には現在の花火の原型である「打ち上げ花火」が初登場します。その後、現在のような「花火らしい」形になったのは明治30年ごろの発明によるもので、炎色反応による色がついたのもその頃とされています。

 打ち上げ花火自体は近代のもので、時代劇で現代のような打ち上げ花火が見れるというのは設定的におかしいということになりますが、水戸のご老公が「OKOK 助さん ファイト!」と言ってたり、電柱が映っていたりするようなものなので、野暮なツッコミを入れずに黙っておきましょう。

■細菌パワーは火薬も生み出す!

 さて、話を硝石に戻しましょう。一体、硝石はどのようにして土の中で生まれるのでしょうか?

 これには、実に巧妙なメカニズムが秘められていたりします。まず、ウンコや尿、つまり屎尿には大量の窒素分が含まれています。それらの窒素分は、空気や水で分解してアンモニアになるうえ、さらにそうしたものを分解するバクテリアによって、すさまじい量のアンモニアが発生します。いわゆる公衆便所の、目にしみるあの臭さです。

 そのアンモニアを、火薬の主原料たる硝石に変えるのは土中細菌の働きです。土の中には信じられないほど多彩な細菌がいます。土=細菌の塊と考えてもよいくらい、土の中にはさまざまな化合物を食い物にする細菌が存在しています。

 アンモニアは水に溶けやすい気体で、水中ではアンモニウムイオンという形になります。このアンモニウムイオンを食う細菌がいます。アンモニウムを酸化して亜硝酸に変え、その利ざやのエネルギーを活動に使っているわけです。さらにその亜硝酸を硝酸に変える細菌もおり、酸素が多い環境であればより反応も進みます。

 さらに土の中には、落ち葉などの植物由来の分解物も大量に混ざり込んでいます。植物は極めてカリウムの豊富な生き物なので、その枯れたものが土に還るときにカリウムイオンが放出されます。カリウムイオンが豊富な場所に硝酸イオンがあると、硝酸カリウムとなります。硝酸カリウムはあまり水に溶けない性質があり、結晶化しやすい性質を持ちます。

 まとめると、屎尿を中途半端に燃やした藁と混合して、さらにそれを重ねて何層にもして、乾燥したところに露出した面を作ると、硝石が沸いてくる硝石畑ができあがるのです。

 しかし、効率も悪いうえ悪臭も凄まじいので、現在はこのような方法で硝酸塩は作られていません。代わりに、そのメカニズムを細菌に任せるのではなく触媒を使うことで工業的に生産されています。ドイツの天才科学者で、受験生を今も苦しめることで有名なフリッツ・ハーバーの発見によって、窒素から硝酸が作られているのです。もちろん、硝酸はガンパウダー向けよりも窒素肥料(化学肥料)としての需要のほうが膨大なので、火薬用途はおまけ程度。それにしても、窒素は空気の7割を占める成分ですから、空気から火薬が作れることを見出したともいえるわけで、まさにノーベル賞に値する偉大な発明だったといえるわけです。

(文=くられ)

※イメージ画像:「Thinkstock」より

あわせて読みたい

TOCANAの記事をもっと見る 2016年11月23日のびっくり記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

びっくりニュースアクセスランキング

びっくりランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

新着キーワード一覧

このカテゴリーについて

世界のびっくり事件や仰天する出来事などついつい気になる情報をお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。