ルカス・クラーナハからクリムトまで! 情熱とともに女体の美を追求した歴史的芸術作品8選

ルカス・クラーナハからクリムトまで! 情熱とともに女体の美を追求した歴史的芸術作品8選

 多くの読者が、FacebookやInstagramなどのSNSを活用していることだろう。同じ趣味や趣向を持つ、見ず知らずの相手とコミュニケーションをとることもできるSNSは、現代人の社会生活に深く入り込んでいると言っても言い過ぎではない。そんなSNSの特徴は、投稿したら(鍵をかけていない限り)、不特定多数のユーザーが閲覧できること。しかしその特徴ゆえ、不確かな規制のラインが存在する。そう、投稿した内容に性的な表現が含まれている、つまり“ポルノ”と判断されれば、アカウント凍結などの制裁が下るのだ。

 フランスでは2011年、19世紀の画家ギュスターヴ・クールベの『世界の起源』という絵画を、Facebookのプロフィール写真に設定した教師が、アカウントを凍結されるという事態が発生した。クールベの絵には、“生産”の象徴、女性器がモロに描かれていたのだ。教師は、表現の自由の侵害に当たるとして、Facebookを相手取って提訴に踏み切ったが、ポルノとアートの線引きは、簡単に答えが出るものではなさそうだ。どこまでが、大多数の人にとって不快でなく、どこからが大多数の人が不快と感じるのか。本来インターネットは、自由に表現できる場であったはずだが、いつしかそんな曖昧なラインを気にしながら利用しなければならなくなってしまった、という逆説を内包しているかもしれない。

 さて一方で、性器(とりわけ女性器)は、「ごく自然な体の一部であり、称賛される物ではあっても、恥ずべき物であるはずがない」と強く主張する人たちもいるようだ。そんな彼らの先輩とでもいうべきか、芸術作品でいかんなく女性器や、女体をエロティックに表現した芸術家たちを8名、その作品とともに紹介したい。

【絵画作品はコチラ→http://tocana.jp/2016/12/post_11780.html】

1. 『Sophia's Bubbles(ソフィアの泡)』マーク・ライデン(1998年)

 マーク・ライデンの作品には、ポップとシュールレアリスティックが同居している。成熟しきっていない漫画的な女性の裸体を、独特のタッチで数多く描いている。印象的なのは、悲哀に満ちた目。『ソフィアの泡』の少女は不自然な姿勢で固まっているよう。平静と官能が同時に感じられる。

 また、彼の作品には裸の少女とともに、かわいいとは言いにくい不思議な動物がよく登場する。下の作品では、少女を踏みつける毛むくじゃらの動物の目と、その動物を見上げる少女の目が、不気味だが印象的だ。

2. 『Black-Haired Girl With Lifted Skirt(スカートのまくれ上がった黒髪の少女)』エゴン・シーレ(1911年)

 師としたグスタフ・クリムトらのウィーン分離派や、象徴派、表現主義に影響を受けた、オーストリア生まれのエゴン・シーレは、観る者に強烈な印象を与える、意図的にポーズがねじ曲げられた人物画を多く描いた。28歳の若さで早世したちシーレであるが、彼がウィーン美術アカデミーに入学した1906年と翌年と翌々年、アドルフ・ヒトラーが同アカデミーを受験し、不合格となっている。

 上の『スカートのまくれ上がった黒髪の少女』では独特のポーズを取る女性が、個性的な筆・色使いで描かれている。彼の裸婦画は、女性のリアルな生きる力が感じられるとともに、どこか非現実的な印象をたたえ、観る者に独特の緊張を強いるようだ。

3. 『The Dinner Party(ディナー・パーティー)』ジュディ・シカゴ(1979年)

 こちらは、フェミニスト・アーティスト、活動家であるジュディ・シカゴの代表作。三角形に並んだ、ディナーテーブルには、1辺に13人分の座席がある。計39人分の、テーブルにある皿には、全てデザインの異なる女性器が表現されている。

 クレオパトラなど、世界を変えた女性が座席につくことをイメージして、一枚ずつ仕上げたという。「女性であることを誇り、個性を楽しもう」というメッセージが込められているというが、シカゴ女史の想像力は驚異的だ。

4. 『蛸と海女』葛飾北斎(1814年)

 続いては、日本が誇る浮世絵師、葛飾北斎。『富嶽三十六景』に代表されるように、風景や人々の暮らしを圧倒的な描写力で表現したことで知られるが、“春画”も多数残している。

 巨大ダコに女性器を吸われる、上の作品は迫力満点。快感に悶える女性の表情、そして女体にまとわりつくタコの足と、生々しいエロスが感じられる。エロ漫画でよく見られる触手系の元祖と言ってもいいかもしれない。大胆な構図や表現は、漫画やアニメに強い影響を与えたと言われるのがよく分かる。下の作品では、立派な男性器が袖を突き破っている。そして、女性器には、またしても長い物を入れている。

5. 『Good Red Love(グッド・レッド・ラブ)』トレイシー・エミン(2014年)

 トレイシー・エミンは、告白的かつ挑戦的な作風で知られる、イギリス生まれのマルチメディア・アーティスト。彼女の表現方法は、観念的であり、また現実的だと評される。そして、上の『グッド・レッド・ラブ』のように、時おり女性の感情的を深くえぐるかのような、エロティシズムを掘り下げる。

 背景の赤、そして女体の青白さが不吉で印象的だ。自身の経験に基づくものなのだろうか。これぞ、女性ならではのエロスといった感じだ。

6. 『Women Friends(女友達)』グスタフ・クリムト(1917年)

 象徴主義を代表するウィーン分離派の画家であるグスタフ・クリムトは、同時代で最も称賛された画家の一人。黄金色を多用した豪華で装飾的な画面構成が印象的だ。一方、人物の顔や身体は非常に写実的で、唯一無二の絵画様式を確立した。尾形光琳などの琳派、エジプト美術などが、彼のスタイルのヒントになったそうだ。

 裸婦も多く描いたクリムト。『女友達』は、レズビアンをテーマに描かれた晩年の作品。鋭く射抜くような目をした左側の女性は、体のラインが現実ではありえない程、うねうねしていてなんとも言えず官能的だ。このうねりがエロティックすぎるとして、批判されることもあったという。

7. 『Never Mind(ネバー・マインド)』チャカイア・ブッカー(2006年)

 チャカイア・ブッカーは、建設現場や廃材置き場から拾ってきた、古タイヤを使って、着用可能な芸術作品を製作した。多層的な構造を持ち、寓話的な作品である『ネバー・マインド』では、人種や階級、性差などが複雑な交わりを、掘り下げたようだ。

 古タイヤから作られたとは思えない、彼女の独特な作品は生き生きしているような躍動感を持っている。少々分かりにくいが、物体の中には女性器をモチーフとした箇所が見受けられる。

8. 『Justice(正義のアレゴリー)』ルカス・クラーナハ(1537年)

 ルカス・クラーナハは、北方ルネッサンスを代表するドイツ人画家。彼は数多くのヌード女性を描いたことで知られるが、元々は王侯貴族の依頼に応じて作品を献上する宮廷画家だった。宗教改革にも共鳴しており、マルティン・ルターの肖像画を描いたことでも知られている。

 しかし、彼の活動で特筆すべきなのはやはり“裸”。ドイツの宮廷で、時代の流れを鋭敏に察知していたのだろうか。彼は、イタリア・ルネッサンスの影響を受け、古典古代の異教の神話世界に熱中した。ここまでは、同時代のドイツ人画家も同じだ。クラーナハは女神や古代のヒロインを“裸”で描くことに、誰よりも強いこだわりを見せた。

 彼の作品をご覧いただければ分かるように、クラーナハはただ裸婦を描くのではなく、エロティックに描写することに熱中した。取り憑かれていたと言ってもいいかもしれない。観る者を誘惑するかのような眼差し、そして柔らかな曲線を描くボディライン。さらに、彼が強くこだわっていたと考えられるのは、実は完全な裸ではないことだ。彼が残したヌード画に描かれた女性の多くは、よく見なければ気づかぬ程薄い、ヴェールをまとっているのだ。

 クラーナハが残したヌード画の数々は、こうした異常なまでのこだわりに貫かれているので、誰かに依頼されたのではなく、彼自身のために同じテーマでヌード画を描き続けていたのではないか、と考えられている。彼は、自分が描いた裸の女性に、“魅せられていた”ようなのだ。枯れることのない情熱で、描き続けられた裸婦たちは、今なお我々を怪しい目つきで誘い続けているようだ。

 いかがだっただろうか。今回紹介した8人の芸術家は、表現したいことやその方法がそれぞれ異なっている。しかし、熱い情熱を持ってエロスの可能性を追求したというところは共通だろう。特に、最後のクラーナハの諸作品の持つエロスは、凄みを持っているようだ。冒頭の話に戻るが、これを機に表現の自由、並びにポルノとアートの境界を考えるきっかけにしていただければ幸いである。
(坂井学)

※イメージ画像:「Thinkstock」より

あわせて読みたい

TOCANAの記事をもっと見る 2016年12月17日のびっくり記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

びっくりニュースアクセスランキング

びっくりランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

新着キーワード一覧

このカテゴリーについて

世界のびっくり事件や仰天する出来事などついつい気になる情報をお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。