放射能を含むスゲエ麻薬「NUKE」は実在していた! 強度が高い幻覚体験、効果は持続…ポイントは重水素!

放射能を含むスゲエ麻薬「NUKE」は実在していた! 強度が高い幻覚体験、効果は持続…ポイントは重水素!

 近年リメイクされて散々な評判だった(個人的には嫌いではないけど)『ロボコップ』という映画があるのだが、そのオリジナルにあたる映画『ロボコップ』の続編にあたる『ロボコップ2』という1990年公開の作品がある。

 この映画に、放射能を含むスゲエ麻薬「NUKE(ヌーク)」というものが出てくる。近未来ディストピア作品なので、なんとなく放射能を含んだ麻薬という響きのかっこよさで設定に入れたものだと思われるが、実は、このフィクション上の麻薬、実際に存在するのである。


■放射能麻薬の生みの親、鬼才・アレクサンダー・シュルギン博士

 アメリカの60~70年代に、幻覚剤に魅せられて様々なデザイナーズドラッグを生み出したアレクサンダー・シュルギン博士の作品にNUKEに近い麻薬のアイデアがある。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/12/post_15437_entry.html】

 シュルギン博士は、もともとはダウ・ケミカルという製薬企業に勤める極めて優秀な化学者であり生化学者で、1960年に幻覚性サボテンに含まれるメスカリンを摂取し、その分子が「意識を変化させる」作用を持つことに特別な興味を持つようになり研究を開始。

 数年後退社し、豊富な資金、凄腕の合成技術と確かな知識によって、ヤバいものからゴミのようなものまで数百種類の化合物を合成し、自らを実験台に効果を検証。その結果を「ピーカル(PiHKAL)/ティーカル(TiHKAL)」という大怪書に残している。

 その本の中でも51番目の化合物に一際異彩を放つ「β―D(ベータ・ディー)」というものがある。
 正式名3,4,5-トリメトキシ-β-ジデューティロフェネチルアミン。


■3,4,5-トリメトキシ-β-ジデューティロフェネチルアミンとは?

 舌を噛みそうな化学名に頭が痛くなる人もいるかもしれませんが、簡単な気持ちで分子構造を見てみて下さい。亀の子構造なんかみてもワカラン……という人も、まぁまぁ、とりあえずご覧あれ。

 幻覚性サボテンに含まれる代表的な幻覚成分に「メスカリン」という物質があります。メスカリンの正式名(IUPAC命名法)では3,4,5-トリメトキシフェネチルアミンとなります。この分子構造とβ―Dは非常によく似ています。というかDが付いているだけです。

 本来、構造式では、水素をHで表示するのですが、有機化合物の構造を示すときに特徴的な場所の水素以外は省略することになっています。なので本来のメスカリンでは普通の水素(H)が2つ付いているだけといえます。

 そしてこのDのチカラで、本来メスカリンは数百ミリグラム摂取しないと幻覚を体験できないのに対して、200~300mgで幻覚作用を誘発する、2,3倍の強さを得ているとシュルギン博士は著書で紹介しています。さらにメスカリンのメトキシ基という分子構造の水素をDに置き換えた4Dというドラッグも存在します。

 このドラッグの効き目を強化するDとはなんなのでしょう? ちょっと科学に詳しい人は周期表を思い出してみて下さい。Dなんてないはずです。

 それもそのはず、Dというのは重水素のことです。


■重水素Dの驚くべき力

 重水素というのはその名の通り重い水素原子のこと。

 化学の周期表を思い出してもらうと分かるのですが、スイへーリーベ……のスイである水素は最も軽い元素なわけですが、その元素に中性子が余分に含まれた、原子量(原子の重さ)が約2倍の水素が重水素です。

 他の元素はもともと重いので、その重さが多少増えたところで元素としての振る舞いはあまり変わりません。しかし、水素の場合は元が軽いものなので、倍の重さ、三倍の重さ(三重水素:トリチウム)なんてのは、わざわざ別の元素扱いをしても良いくらいに振る舞いが変わってくるので、DやTといった特別な記号で表すことが多くなってます。

 この重水素、どれくらい重いのでしょう?

 普通の水(H2O)に氷(固体の水)を入れると密度差で、氷は浮きますよね。しかし重水素で構成された水、その名も重水はその名の通り重く、氷にしても多少気泡が入っていようとも余裕で水に沈みます。

 水素という元素は、普通の水素、重水素、三重水素、四重水素・・・と、普通の水素より原子量(原子の重さ)が重い水素が存在します。重水素は放射能は出さず安定した同位体です。逆に言えば、三重水素も分子に組み込むことが可能なので、その場合は放射能入りのスーパーなドラッグを誕生させることも可能と言えるわけです(実際にトリチウム水というH2Oならぬ、T2Oも存在します)。

 さて、重水素。その重さから、薬剤に組み込まれた場合に分子の振るまいが大きく変わるということで、近年、超難病で知られるハンチントン病の症状を改善する新薬にデューテトラベナジンというものが認可されたことが薬剤界で話題になりました。すでに、同病に使われていたテトラベナジンのあちこちの水素が重水素に置き換わっているものです。

 それだけで劇的に薬の効き目が長く良くなるということで、たかが水素、されど水素と分子の性質をガラっと換えてしまう、重水素は製薬から麻薬まで広い可能性があるといえるでしょう。現在、三重水素を組み込んだ製剤は存在しませんが、作ることはそれほど難しくありません。

 三重水素は12年近い半減期を持つ元素でベータ線として余分なエネルギーを捨てつつゆっくりとヘリウム3に変化していく元素です。そのうち本当に、三重水素を組み込んだウルトララジオアクティブなドラッグが世界に出回るやもしれません。
(文=くられ)

※イメージ画像は、「Thinkstock」より

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