【悲報】 野生の馬はとっくに絶滅していたことが研究で判明! 家畜馬の起源にミッシング・リンクも

【悲報】 野生の馬はとっくに絶滅していたことが研究で判明! 家畜馬の起源にミッシング・リンクも

 絶滅の危機に瀕している野生動物は何としてでも守りたいものだが、その努力が水泡に帰してしまうケースが報告されている。個体数を増やそうとこれまで懸命な取り組みが行われてきた絶滅危惧種の保護活動だが、なんと、そんな種のひとつ、野生馬はとうの昔に地球上で絶滅していたのだという。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2018/03/post_16145_entry.html】

■野生馬と信じられてきたモウコノウマの先祖は家畜馬だった!

 シマウマやロバを除く一般的なウマの野生種はどこで暮らしているのだろうか? 改めて問われてみれば、確かに野生馬が自然の中で暮らしている姿を想像するのは難しいかもしれない。

 ユーラシア大陸の広大な草原地帯であるユーラシア・ステップに生息するモウコノウマ(Przewalski's horse、プルツワルスキー馬)はこれまで野生馬の子孫であると考えられ、絶滅から個体を守り再び野生化させる取り組みが各地で行われているのだが、その努力は残念ながら徒労に終わってしまいそうだ。最近の研究でこのモウコノウマは野生馬ではなく家畜馬の子孫であることが判明したのだ。

 2月22日に科学誌「Nature」で発表されたレポートは、これまで野生馬の系統にあると考えられてきたモウコノウマは、実は5500年前に家畜として飼われていたウマの子孫であることが明らかになったことを報告している。

 研究チームはカザフスタン北部のボタイ(Botai)とクラスヌイヤール(Krasnyi Yar)で発掘調査を行い、出土したウマの骨のDNAを分析し、すでにゲノム情報が解析されている古代馬と現代馬とを比較検証した。その結果、発掘されたウマは現代馬の祖先ではなく、モウコノウマの先祖であることが判明した。そして発掘されたウマは、この地で5500年前に家畜として飼われていたことが極めて濃厚であることもわかった。ということはモウコノウマは家畜馬の流れをくむ種であるということになる。

「悲しむべきことにこれは現在、地球上に野生馬が生息していないことを意味しています。モウコノウマを研究している多くの生物学者にとっては大きなショックです。我々はこのウマが現存する唯一の野生馬だと考えていましたが、もうすでに野生馬は絶滅していたのです」と研究者の1人、米・カンザス大学のサンドラ・オルセン氏は語る。

 現在野生の状態で生息するモウコノウマは2000頭ほど確認されているのだが、研究者たちが野生種であると見紛うのも無理はない特徴がいくつもあるという。まず目につくのはボリュームのあるタテガミが常に立った状態にあることで、これは現代の家畜馬には見られない特徴であるという。またふさふさとした分厚い毛皮も野生馬ならではであるということだ。ただ、こうした特徴は野生化したことで再び備わってきたものであると考えられなくもない。

■現代家畜馬のルーツに“ミッシングリンク”

 モンゴルの草原をはじめ、ユーラシア大陸の草原地帯は遊牧民族が栄えた地としても知られているが、ボタイで5500年前にウマを飼っていた人々は定住していたということだ。大きな村では150頭ほどのウマを飼い、食用はもちろん馬乳の採取、あるいは労働力や乗り物として家畜馬が幅広く活用されていたという。そして解体後の一部の骨や毛皮も有効利用されていた。

 5500年前にウマの畜産が行われていたかどうかについてはまだ議論もあるのだが、ボタイで発掘されたウマの骨は95%が同一種であることや、もし狩猟によってウマを捕獲していたのなら常に付近のウマが狩りつくされるため定住はできないと考えられるという。そして村の遺跡には家畜用の柵囲いの痕跡も残っているということである。

 ともあれ、モウコノウマがボタイの家畜馬の子孫だったということでまた別のミステリーが浮上してくる。それは現代の家畜馬のルーツがどこにあるのかということだ。ゲノム分析の結果、このモウコノウマと現代の家畜馬にはつながりはないのである。

「興味深いのは人類の畜産の歴史の中で、わずかに異なる種、あるいは亜種からの2つの異なるウマの家畜化が行なわれていたことです」(サンドラ・オルセン氏)

 オルセン氏によれば現代の家畜馬の先祖は、モウコノウマとほぼ同種の絶滅したヨーロッパの野生馬、エクウス・フェルス(Equus ferus)であると考えられてきたのだが、現代馬とモウコノウマに関係がないとすれば、このエクウス・フェルスと現代馬の関係もない可能性が高く、現代の家畜馬の起源に系統が途切れた“ミッシングリンク”が出現してしまうのである。

 はたして我々の身近にいる現在のウマのルーツはどこにあるのか? ウマの研究によって意外なところから“現代のミステリー”が新たに浮上しているようだ。
(文=仲田しんじ)

※イメージ画像は、「Wikipedia」より

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