ナイジェリアの聖地「オルモ・ロック」に写真家・酒井透が潜入! 白人を血で呪ったオリシャ(神)の最高聖職者に会って占い体験!

ナイジェリアの聖地「オルモ・ロック」に写真家・酒井透が潜入! 白人を血で呪ったオリシャ(神)の最高聖職者に会って占い体験!

 ナイジェリア最大の都市であるラゴスから、ダンフォーと呼ばれる乗り合い制のバンに揺られること約2時間。オグン州の州都となっているアベオクタという街に、オルモ・ロックと呼ばれている巨岩がある。アベオクタのシンボルとなっているオルモ・ロックは、小高い山の上に乗っていることからどこからでも見ることができるが、実は、奇妙ないわれがある。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2018/07/post_17564_entry.html】

「もう何十年も前のことになるけど、白人の旅行者が来たときに、この岩の上に登ってツルハシで岩を割ろうとしたんだ。そうしたら、大量の血が噴き出してきて、彼らは血まみれになったんだ。そのうちの一人は、失明したみたいだよ。ここは、聖地なんだ。オリシャ(神)を冒涜することは許されない。本当に彼らは、ひどいことをしたよ!!」(フェミ・ウスンラくん)

 大きな1枚岩で出来ているこの巨岩は、ナイジェリアの伝統的な宗教であるオリシャを信仰しているヨルバ(族)の人たちの聖地のひとつとなっている。オルモ・ロックには「聖職者」の女性が常駐していて、悩みごとなどの相談に来る人たちに助言をしている。巨岩の周りには3つのシュライン(神殿)がある。

 数年前、シュラインに祀られているオリシャの像を見るためにアベオクタに向かった。同行してくれたのは、ナイジェリア人の友人のフェミ・ウスンラくんだった。彼は、ヨルバ(族)で、かなり前からオリシャを信仰している。仕事やプライベートで何度もアベオクタを訪れていて、オリシャ信仰についてかなりの知識を持っている。

 オルモ・ロックは、とてつもなく大きい。それを見ていると、パワーのようなものを感じることができる。ウスンラくんは、オルモ・ロックの中腹にある大きなシュラインにいた「聖職者」に、オリシャの像を見に来たことを話すと、正面にあるシュラインに通された。

 60歳を超えていると思えるこの「聖職者」は、南京錠を外して小さなシュラインの扉を開けると、そこにある高さ40センチくらいの像を見せてくれた。乳児を抱いてミルクを飲ませている女性の像は、目を大きく見開いていて、どことなく気味悪いものを感じた。しかし、それは今まで見たことのないような種類の像だった。その後、オルモ・ロックの真下を1回りしたあと、ウスンラくんが占いをしてもらうことになった。

 最高位の「聖職者」が用意したのは、カウリ(子安貝)とザルだった。伝統的な方法に則った占いは、すぐに始まった。「聖職者」は、まずウスンラくんの話を聞いていた。生年月日、生まれた場所、家族構成、仕事、悩みごとなどを質問している。筆者は、ヨルバ語は分からなかったので、同行していた彼の弟に英語に訳してもらっていた。「聖職者」は、ひととおり話を聞くと、彼から受け取ったお布施をザルの上に置いて16個のカウリを投げた。

「パラパラパラ」という音を立ててザルの中に転がったカウリは、6個が裏向きになった。「聖職者」は、カウリをひとつふたつと指で動かしながら出目を読み取っている。これが神様のお告げになっているからだ。ウスンラくんは、ちょっと緊張した様子で成り行きを見つめていた。そして、「聖職者」は、ボソボソとした口調で話を始めると、その話は20分あまり続いた。占いが終わるとウスンラくんが占いの結果を教えてくれた。

「(聖職者から)厳しいことを言われてしまったよ(笑)。自分の場合、長年勝手なことをやり過ぎていたようだ。家庭のことを考えずに仕事に没頭し過ぎていたのがいけなかったんだ。家庭も崩壊してしまったからね。でも、聖職者は、『これからは、運気が訪れる』、『今までの経験が生かされるときがくる』と言ってくれたよ……」(ウスンラくん)

 オルモ・ロックに常駐している最高位の「聖職者」は、ナイジェリアの州政府から聖職者としての認定状が付与されている。これは、どこにでもいるニセモノの聖職者と区別するためのものだ。近年、ナイジェリアでは、「聖職者」を名乗って荒稼ぎする人が増えている。政府は、ナイジェリアの伝統に根づいた信仰と聖職者を守るために認定状を発行している。

 ウスンラくんは、欧米でも良く知られているナイジェリアの有名なミュージシャンの下で22年間も働いていた。ミュージシャンの名前は、フェラ・クティという。主な仕事は、ミュージシャンの記録写真を撮ることだった。しかし、彼は、ミュージシャンが作っていたコミュニティで生活をすることが多かったので、家庭を優先することはできなかった。その結果、妻は田舎に帰ってしまい、3人の子どもたちは、親戚の家で生活しなければならなかった。

「自分には『財産』というものがある。ミュージシャンの写真を欧米に売り込むんだ。ニューヨークやロンドンで写真展をやってお金を作るんだ。そして、家族を呼び戻すんだ!!」

 ウスンラくんは、「聖職者」に占ってもらったことによって、元気を取り戻したようだった。ナイジェリアの南西部で暮らしているヨルバ(族)に伝わるこの宗教に登場するオリシャの数は、400とも2000とも言われている。そのうち重要なのは、鉄の神 (Ogun)や水の神(Osun)、雷や稲妻の神(Sango)など16の神々だ。占いのときに16個のカウリを使うのは、それぞれのオリシャからのお告げを聞くためとなっている。オリシャには、役割があるという。

 オルモ・ロックの頂上から見下ろすアベオクタの街は、油絵を見ているような美しさがある。西側には、赤茶けた色をしたオグン川が流れ、川の向こうの畑からは白い煙があがっている。街のいたるところに転がっている巨岩を避けるようにして建っている家々の屋根は、赤茶色に錆びて土の色と同化している。ウスンラくんは、「アベオクタという名前には、『岩の下』という意味があるんだ」と言った。

 白人の旅行者がツルハシで岩を割ろうとしたとき、大量の血が噴き出したというオルモ・ロック。麓に戻って改めて見上げてみると、ヨルバ(族)の人たちが「聖地」としていた理由が分かるような気がしてきた。ここで悪さをすることは許されないのだ。

 ウスンラくんは、麓に降りる前にシュラインの脇にある店で宗教的なものを買っていた。薬にもなるというパーム油などから作ったブラック・ソープ。車の中に置いておけば交通事故に遭わないという指輪のようなもの。赤い布が詰められている謎のボトル。オルモ・ロックは、ヨルバ(族)の人たちにとって、一生に一度は訪れたい場所となっている。
(文・写真/酒井透)

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