世界で唯一「泥棒のいない村」エイベンタール村が凄すぎる! 扉も開けたまま犯罪なし…“悪人ゼロ民族”の謎=ルーマニア
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 世界的に見て治安が良く、人々は総じて礼儀正しく優しいと言われてきた日本でも、昨今は痛ましい事件や事故が後を絶たない。そんな中、秩序を守りお互いを思いやる優しさに満ちた村の、美徳に溢れたニュースが6月20日付の「Oddity Central」にて報じられている。


■平和な暮らしの始まりはパンを買う代金だった!?

 ヨーロッパに位置するルーマニア西部の緑に囲まれたエイベンタールは1827年に村として設立して以来、主にチェコ民族が暮らすのどかな村だ。実はこの村はルーマニア国内にとどまらず、世界からも注目を浴びる「泥棒のいない村」なのだ。

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 エイベンタール村には必要がないという理由から警察署がない。セルビアとブルガリアの国境に近いメヘディンチ県の中にあるエイベンタール村はルーマニア国境の犯罪発生率において全国平均を大きく下回り、人々は互いを尊重し合い、穏やかに暮らすことで知られている。

 1960年代から80年代にかけてのチャウシェスク独裁政権の下、苦しい生活を強いられていたルーマニアだが1989年に起きた革命以降、国民の暮らしは大きく変わった。もちろんエイベンタール村でもその変化は見られた。

 革命後間もなく、村にあった唯一の商店が閉店すると村人たちは20キロ離れた別の村から1日おきに来るパン屋のトラックを見逃さないよう常に自宅で待機するようになってしまったという。1996年頃、村人の1人が袋にメモとパンの代金を入れて通りに置くようになり、他の住民もそれに続いたのが事の始まりだった。

 パンを積んだトラックの運転手は袋の中から代金を取り出し、メモに記されただけのパンと釣銭を入れて街頭の柱や住宅のフェンスに袋を戻して去って行く。この20年の間にパンの代金や購入済みのパンが盗まれたことは一度もないという。また、村の外からパンの代金を盗みにやって来るにしてもエイベンタール村までのガソリン代の方が高くつくと住民たちは考えているようである。

 村の住民に話を聞いてみると「私はいつも4~5個のパンを買います。袋を置いていくけれどこれまでにパンや代金が無くなったことは一度もありません」と語る。また別の住民は「朝、袋を置いて農作業に出かけるんだけど夕方に戻って来て袋を見るといつもパンとおつりがきちんと入っているんだ」と話す。


■「敷地にだって入りません」秩序を守り暮らす人々

 さらに、この村では窃盗がないだけではない。住民たちは互いの家を行き来する際も、招かれない限り庭にすら踏み込まない。用事があれば家の門の前から声をかけ、家主の応答がない時はその場を去るのだ。互いの領域を尊重する姿勢が表れている。

 この村で祭司を務めるヴァクラヴ・マセク氏は地元紙の取材に対して「私はガレージの中にさまざまな物を保管していますが、ガレージのドアは開けたままにしていることが多いです。しかし13年間務める中で、私のガレージだけではなくこの村の中で物が盗まれたことは一度もありません。エイベンタール村はチェコ民族の村の中で最も文明的な場所です」と語る。

 また村長のビクター・ドスコイル氏は「私たちは何か必要な物がある時は盗むのではなく、他人に使っても良いか尋ねるよう教えられてきました。これまで悪事を働く人がいないのは喜ばしいことです」とフランスメディアの取材に応えている。

 インドでは住居にドアを作らずにカーテンのみを使う村があったり、日本でも財布を落としたら交番にそのまま届けられていた話が多いように、エイベンタール村の人々と同じ心を持つ人が世界には多く存在しているはずだ。こういった暮らしが当たり前である世の中になるよう希望を胸に抱きつつ、家の脇に置いておいたホースが盗まれたことに腹を立てるのだった……。
(文=清水ミロ)

※イメージ画像は、「Wikimedia Commons」より