ブラジル初のメジャーリーガーは日本的

 新しい環境で言語や文化の違いに戸惑う中「野球が本当にすごく助けになった。言葉が分からなくて、目で見つめ合うことしかできなかった友人たちは、野球ができることで早く受け入れてくれたと思う。その後、他のアメリカンスポーツもやるようになった。新しいところになじむ鍵は、互いをいかに早く知るかだと思うんだ。12歳ってちょうど人間的にも転換期というのかな、自分自身を理解しようとしている時でもあるから、野球を通していろんなことがわかったよ」

 ブラジル仕込みの野球は、同年代の子たちからは群を抜いた。

「リトルリーグの世界大会みるとよくわかるよね。日本の選手たちは本当にうまい! 僕は、そんな構築された大人っぽい野球を学ぶことができたから」と謙遜して答えたが、かくしてブラジルの日本野球が海を渡って米国で花を咲かせ、ヤンを大リーグまで導いたのだった。

 2012年ヤンを皮切りにブラジルからメジャーに昇格したのは5人(現役は3人)だが、マイナーリーグも合わせると50人はいるという。

「今は、アメリカスタイルの野球も普及し始めて、スタイルが交ざりつつある。ブラジルの野球が発展しているんだ。WBCは、殿堂入りもしたバリー・ラーキンが監督を務めてくれたんだけど、メジャーでプレーする選手や元選手らの助けなどから、彼らのようになるにはどうしたらいいのかって、考え方が変わってきている」

 日本のプロ野球を目指していた少年たちが大リーグへ行ってしまうのは、日本人としては少し残念な気もするのだが、大リーグがブラジルに目を向け始めたことで、スポーツ推薦で米国の大学へ行けたり、マイナーリーグで米国流の野球を経験できる選手が増えたのはとても画期的なことだと思う。先のWBCではまだ苦戦中だったブラジルが豹変する日は、そう遠くないのかな。

 ヤン・ゴームズ 1987年7月19日生まれ。ブラジル・サンパウロ出身。188センチ、97キロ。右投げ右打ち。ポジションは捕手。2009年のドラフトでブルージェイズに入団し、12年にメジャー初昇格。ブラジル初のメジャーリーガーとなった。13年にインディアンスに移籍し、14年にはレギュラーに定着。135試合に出場し、打率2割7分8厘、21本塁打、74打点の成績を残し、捕手としてシルバースラッガー賞に輝いた。昨季までのメジャー6シーズンで74本塁打を放つなど、強打の捕手としてチームを支えている。

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