未成線鉄のキング「幻の広浜鉄道今福線」の魅力

未成線鉄のキング「幻の広浜鉄道今福線」の魅力
島根県浜田市の山中に残る広浜鉄道今福線の橋脚。一度も列車が通ることはなかった

「乗り鉄」「撮り鉄」など裾野が広い鉄道趣味の中で、ここ数年、ジワジワと人気を高めているのが「未成線鉄」だ。未成線とは、工事の認可を得ながら、完成しなかった鉄道路線のことだが、その魅力とは…。

 連休中、島根県浜田市の山中に、カメラを手にした親子連れの姿があった。彼らの目当ては「幻の広浜鉄道今福線」。

 広島県側と島根県浜田市を結ぶ鉄道として、戦前と戦後2度計画されて着工されたものの、一度も列車が通ることなく廃線になった悲劇の未成線だ。「未成線鉄」はその痕跡を探して旅をする。廃線鉄に近いが、造られながら一度も列車が走らなかったのは、廃線よりも悲劇的とも言える。

 着工に至らなかった未成線も多い中で、広浜鉄道は2度も工事が進められた。まず1933年に国鉄山陰本線の下府駅から石見今福駅までが着工。しかし日中戦争のあおりを受け40年に工事中断。そのまま放置された。

 終戦後の70年、国鉄山陰線の浜田駅と国鉄可部線の三段峡駅を直線的に結ぶルートの工事が始まった。高速化をもくろんでのルート変更だったが、80年、国鉄の経営赤字が問題になり工事は中断。日の目を見ることはなかった。

 すっかり忘れられていた広浜鉄道が“復活”したのは2008年。コンクリートアーチ橋の遺構が土木学会により「選奨土木遺産」に認定されたのだ。これを受けて地元は活用に向け動きだし、15年に「広浜鉄道今福線を活かすシンポジウム」が開催された。

 NPO法人J―heritage総理事で、15年から広浜鉄道の観光化に協力していた産業遺産コーディネーターの前畑洋平氏は「山の中にダイナミックな遺構があり、自然にのまれながら存在する景色は、想像力をかき立て、魅力的な景観です。土木遺産としての価値はもちろん、産業遺産として非常に価値があります。2度も中止された歴史といい、広浜鉄道は『未成線のキング』と呼ぶにふさわしいです」と語る。

 これから未成線が注目を集めそうだ。

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