【思い出の重賞レース=2011(平成23)年「中京記念」】競馬ファンに夢と希望をもたらしたレジェンド武豊

【思い出の重賞レース=2011(平成23)年「中京記念」】競馬ファンに夢と希望をもたらしたレジェンド武豊
ゴール後にこぶしを握る武豊とナリタクリスタル

 中京記念といえば、その名称の前に“トヨタ賞”を冠していることで有名だ。ただ、近年で唯一、この文字がなかった年がある。2011年――。この忌まわしい数字だけでもピンとくる人がいるかもしれないが、同年の中京記念は本来なら3月12日がレース開催日だった。それが東日本大震災の甚大な被害により延期となり、3月20日に行われることとなった。

 この時点ではサマーマイルシリーズに組み込まれておらず、春開催の芝2000メートルという舞台設定。そして中京競馬場の改装工事により、11年は小倉での開催となっていた。「トヨタ賞」でないのはその小倉開催によるものだろうが、“中京”記念なのに“小倉”、そして1週先延ばしされての開催、トヨタ賞の冠を付していない――まさに異例ずくめの開催だった。

 また、当時の出走メンバーを確認していただくと、ある違和感を抱くはず。3月中旬の芝の中距離といえば中山牝馬Sがあるはずなのに、牝馬が7頭も名を連ねているのだ。むろん、これも震災の影響によるものであり、中山牝馬Sの延期(11年の中山牝馬Sは4月2日の阪神12R)により、大量の牝馬が中京記念に流れてきたというわけ。騎手たちはおのおの喪章を着け、同日のレースを粛々とこなしていた。あのいかんとも表現しがたい光景は忘れられないが、やはりというか、さすがというか…。勝つのはきっと彼でないとダメだったのだろう。

 同年の中京記念、すなわち震災直後の日曜重賞を制したのは近代日本競馬の代名詞・武豊騎手(ナリタクリスタル)だった。震災でふさぎ込んでいた競馬ファンに、わずかではあるかもしれないが、夢と希望をもたらしてくれたレジェンド。ヴィクトワールピサのドバイWCにも元気をいただいたが、やはりあの天才ジョッキーの勝利が脳裏に焼きついて離れない。

(栗東時計班・清水友哉)

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