引退会見・阿部の壮絶いじめられ体験

 阿部が19年間の現役生活にピリオドを打った。球史に残る名捕手を取材できる機会に恵まれたのは記者冥利に尽きるが、一方でこんな妄想もしていた。もし、阿部がメジャーでプレーしていたら――。阿部は兄貴分と慕う松井秀喜ヤンキース移籍をきっかけに米国野球に関心を持ち始めた。当時の私は巨人と並行してヤ軍所属だった松井の取材もしていて、事あるごとに「慎之助に早く来いって言っておけよ」と言われた。名将ジョー・トーリ監督も2004年に日本での親善試合で対戦した阿部を「素晴らしい技術を持った打者だ」と絶賛していた。

 その言葉を伝えると、阿部は「おれがトーリと一緒に野球したらどうなるんだろうなあ」と、つぶやいた。夢への熱い思いは日に日に高まっていたように思う。そして日本球界を代表する捕手としての地位を確立した07年オフには「それは時期が来たら話さなきゃいけないこと」とメジャーへの思いを初めて公言。気持ちは米国行きへ傾きつつあった。

 だが、海外FA権取得を翌年に控えた09年のシーズン中、阿部は私に、こう打ち明けた。「もうメジャーで、という気持ちはないよ」。意外だった。真意を問うと「なにもメジャーが最高の舞台とは限らない。日本のプロ野球のレベルが高くなって盛り上がることが大事。その中で巨人を世界一と誇れるチームにすればいいんだ」。実際、同年オフに巨人と最大4年の長期契約を結び、メジャーへの夢を封印した。

 阿部はジャイアンツ愛を貫いた。ただ、松井もほれ込んだ打撃が、本場でどれだけ通用するのか見られなかったのは少し心残りでもある。


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