
24日、東京競馬場で行われた牝馬クラシック第2弾、GI第81回オークス(芝2400メートル)は圧倒的な1番人気に支持された桜花賞馬デアリングタクト(杉山晴)が優勝。1957年のミスオンワード以来、63年ぶりとなる無敗での牝馬2冠を達成した。名牝への道をひた走る同馬だが、鞍上の松山弘平(30)も充実の時を迎えている。レースを振り返りながらこの人馬の行く末を占おう。
3コーナーまではほぼ完璧だった。「先行争いが激しくて1、2コーナーでは狭くなったり、ぶつかったりした」(松山)とはいえ、向正面では人馬ともに落ち着いて追走し、末脚をしっかりと温存。勝負どころから徐々に加速して直線を迎える。
「外めに出したかった」のは常識的なかじ取りではあるが、終始外からプレッシャーを掛け続けていたリアアメリア=川田が進路を明け渡すわけもなく、内側へ大きくパートナーを誘導し、ようやくギアチェンジに成功。見た目には追い出しが大きく遅れた感は否めないが、さすがは桜花賞をケタ違いの末脚で勝った馬。そこからは他馬が止まって見えるほどの瞬発力で、粘り込みを図るウインマリリンを半馬身かわしてゴールした。
「1番人気だったのでマークされる立場。実際、前半はタフな競馬になったなとみていました。それでもこの馬の一番の持ち味は強い精神力。向正面からは馬群の中で我慢できていましたし、3コーナーからはスッと動けましたから」
安堵の口ぶりで振り返った杉山晴調教師は開業5年目で牝馬クラシック2冠制覇。重馬場(桜花賞)での激戦後でも体調を落とすことなく、絶好の気配で送り出した手腕も光った。