
【和田京平 王道を彩った戦士たち】 全日本プロレスの和田京平名誉レフェリー(65)の連載「王道を彩った戦士たち」第4回は“爆弾小僧”ことダイナマイト・キッド(享年60)の登場だ。初代タイガーマスクのライバルとして新日本プロレスで一時代を築いた後、全日本プロレスに主戦場を移した名選手の素顔を明かした。
今のマット界に一番必要な存在だと思う。ジュニアの体でヘビー級と互角に渡り合ったでしょう。全体的に選手のサイズが小さくなり、階級の垣根が消えた今だからこそ、キッドを見たいなと。どの団体でもトップを張れたんじゃないかな。
ブレーンバスターの速さとか試合内容は革命的だった。技は少ないけどパンチ、キックでも一撃一撃に全身の力が入ってスピーディー。ジュニアのスタン・ハンセンだよね。相手のことなんか構っちゃいない。とにかく自分の技を決めるのが最優先だった。プライドというか我を貫くというか、誇りに満ちていた。でも独善的に見えて、実は相手が受け身を取れるように技を仕掛けていた。まあ、うまかったよ。
気難しいとか頑固とかよく言われるでしょ。実際は違うんだ。ものすごいおちゃめでさ。よく(リングアナウンサーの仲田)龍と控室に行って遊んだよ。キッドは手品を見せるわけ。手のひらのコインを隠したり、トランプの数字を当てたり簡単なものなんだけど、俺たちを驚かせてはうれしそうに笑うんだ。俺も逆にくわえているたばこの火を消す簡単な手品を見せると、目を丸くして驚いてね。次のシリーズには違う手品を覚えてくるんだ。楽しかったね。