【平岡洋二 連載コラム】修行のようでは真の指導とは言えないのでは…

【平岡洋二「アスリートの解体書」(26)】高校野球部独特の雰囲気に驚かされることがある。まず「この野球部の目標は?」と聞くと大半のチームが「甲子園出場です」と答える。中には「日本一になることです」なんて答えもあるから驚きだ。甲子園出場はおろか、地区大会の序盤で負け続けているのに…。高い目標にチャレンジする姿勢を批判する気はさらさらないが、洗脳された新興宗教を思い起こさせる異常な雰囲気のチームにはあえて次のように問いかけることにしている。「強豪校と言われる学校との違いを客観的に分析してみよう」と。

 まずハード面。専用どころか球場すら備えた学校さえある。雨天練習場を始めピッチングマシンやその他もろもろの用具類も充実し、立派な寮完備のプロ野球顔負けの設備の学校すらあるのが現実だ。

 次にソフト面。強豪校と言われる私学は、特待生制度等を活用して近隣だけでなく県外からも有望選手を集め、部員数も100人を超え激しく競争させてチームをつくる。何度もの甲子園出場などの実績のある指導者やコーチを雇い入れている場合さえある。もろもろ考慮すると、差が縮まるどころかますます実力差が開くのでは?と。すると、今度は「気持ち・根性では負けません」。

 中学時に「アスリート」でのトレーニングを経験し、過去全国制覇さえある強豪校に進学、3年の夏の予選が終わり今度は大学野球部に進むためにトレーニングを再開。何と、中学生時よりひと回り小さな体で現れたのだ。休みは年末年始の数日のみで、連日の夜までの猛練習に加えて朝練。睡眠時間は5時間前後だったという。10代の成長期の高校生に睡眠時間を削らせてまでやらせる必要のある練習などあるのだろうか。結果は言うまでもなく早々に敗退して高校野球終了。また、一緒にトレーニングを始めた同級生がいた。190センチ近い身長で体重60キロ台の異様に細長い体つき。素材的には背が高く、俊足・強肩なのだから、関東などの強豪大学などからの勧誘がありそうなタイプだったが、決してレベルの高いとは言えない地元大学ヘ進学。4年間のトレーニング等で体重を20キロ以上も増やしてプロ注目の存在になった。


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