
【京都大賞典(日曜=11日、京都芝外2400メートル=1着馬に天皇賞・秋優先出走権)栗東トレセン発秘話】芝の状態を示す新たな指標として、JRAは先月11日から「クッション値」を公表している。クッション値の数値が高ければ馬場が硬く、逆に低ければ軟らかいことを示す。4回中山開催を例に取ると、クッション値はおおむね9~10台と標準からやや硬めで推移。そういう馬場なら時計も出そうなものだが、実際は「今の中山は例年以上に時計がかかる」との声が多かったのはなぜなのか?
「時計がかかるといっても、その理由はひとつじゃないからな」とは先週のスプリンターズSにモズスーパーフレアを出走させた音無調教師だ。
「馬場が硬いのに、時計がかかるということは、芝丈の長さが関係しているんじゃないかな。雨の影響を受けた今年の高松宮記念と、今の中山を一緒にはできない」
なるほど、馬場読みひとつ取っても、先入観にとらわれないことが大事なようだ。
先入観といえば、GⅡ京都大賞典に出走するキセキの前走にも驚かされた。古馬になってからは前々で運ぶイメージが強かった馬だが、宝塚記念で鞍上・武豊が選択したのは、それとは真逆の競馬だったからだ。
「ユタカさまさまですよね。(脚を)ためにくい馬だし、跳びの大きな馬でもある。ああいうことができる人は、そうはいないでしょう」と角居調教師。鮮やかな名手の手綱に敬意を表しつつ、「あの一戦がいいキッカケになれば」と期待を込める。