
元SMAPの森且行(46=川口)が3日に行われた川口オートレースのSG「第52回日本選手権」の優勝戦で悲願のSG初Vを達成し、1997年にデビューしてから24年目にして権威ある最高峰のタイトルを獲得。レース後は「仲間たちとの約束をやっと守ることができました」と神妙な面持ちだった。人気先行とやゆされてきたオート界のアイドルレーサーがようやく頂点に上り詰めた舞台裏をリポートする。
オートレース界には年間5つのSG(スーパーグレード)があり、その中でも今大会の日本選手権は唯一、全レースハンデなしで行われるため実力日本一決定戦として認知されている権威ある大会だ。
森は初日からエンジンを仕上げ、連日力強い動きを披露。①③②②着の成績で勝ち上がった。オートは他のギャンブルとは異なり、雨の巧拙がはっきり出る競技で森は典型的な雨巧者。準決勝戦が行われた2日も降雨の影響で湿走路になったのが優勝戦進出の大きな後押しとなっていた。
優勝戦が行われた3日も車券好きの記者の間では「雨が降らない限り、森の優勝はまずない」との声が大勢を占めていた。
決戦となった優勝戦は公式発表こそ濡れた部分がところどころに残るブチ走路だったが、選手目線で見れば完全な良走路。当然のように森の頭は万車券がズラリ並ぶ人気薄だった。
ナイター照明がともった中、優勝戦の号砲が鳴った。スタートで1番人気を背負った鈴木圭一郎(25)が飛び出し、森は不利と言われる外枠の7号車から会心のSを切り2番手につけた。前を走る鈴木と森の実力差を考えれば、抜くのは至難の業と思われたが「神様がいましたね」と勝者に言わしめたアクシデントが待っていた。