
お湯の温かさが本当にうれしい季節になりました。温泉カメラマンの大黒敬太氏が向かったのは明治元年創業という長野の老舗旅館。代々の松本城主の御殿湯として歴史を刻んだ温泉郷です。
こんにちは。温泉シーズンの到来と紅葉シーズンの始まりが重なって、それに「Go To トラベル」の恩恵もあり、週末の温泉地はどこへ行っても客足が戻ってきてにぎやかですね。余計なお世話ですが、キャンペーンが1月末で終わった(延長も?)後の、観光地が例年最もヒマになる2月はどうなることやら…。
今回、向かったのは長野県の美ヶ原(うつくしがはら)温泉。ネーミングからのイメージだと爽やかな高原に湧く温泉地でしょうが、信州が誇る国宝・松本城から車で15分もあれば着いてしまう市内の外れといったいで湯です。
温泉地名は今風なのですが、開湯の歴史は奈良時代までさかのぼる古湯。なんと日本書紀に「束間の温湯」と記され、江戸時代には松本藩の御殿湯が築かれたということです。
ご紹介するお宿は「和泉屋善兵衛(いずみやぜんべえ)」。通りから望むと、こぢんまりとした、なまこ壁の蔵のようなたたずまいですが、玄関に入って受け付けを済ませ渡される館内の地図を見ると奥行きがハンパないです。玄関から見て反対方向にある貸し切り露天は3つの棟を越えた先、体感的に200メートルはあるのでは?と思う距離感。この長さを歩く分、老舗独特の雰囲気を楽しめます。
写真は日帰りで利用できる貸し切り風呂で、最も高額(2800円~)な「山の辺の湯」。4~5人でも入れる広さの露天風呂に、総ヒノキ造りの2人サイズの内湯が付きます。露天はご覧のようにちょっとした庭風で、もう山では木々が色づいているのに温泉熱で温かいため、夏のよう(ちょっと残念)。それはともかく、男女別の内湯は源泉かけ流しで24時間入浴可なので、泊まった場合は湯ざんまいで楽しめますよ。
お宿は松本城や周辺の観光ついでに最高の好立地にあります。ぜひぜひ。