
【伊原春樹・新鬼の手帳】試合中盤で躊躇(ちゅうちょ)なく動いたホークスベンチの判断は見事だった。ソフトバンクの先発・石川は5回に中島へ死球を与えたあたりからボールが少しずつ高めに浮き始め、続くウィーラーに2ランを被弾。そして6回一死から坂本、岡本に初めて連打を許して一、二塁とされると、工藤監督は迷わず右腕の交代を球審に告げた。
前の回で一発を浴びたとはいえ、石川は立ち上がりから快調そのものでジャイアンツ打線をのみ込んでいた。それだけに5点リードの展開を加味して考えると〝並の指揮官〟ならば右腕にはこの回を投げ切るか、もしくは7回まで続投させたいところだ。しかしシーズン中から石川の状態を把握し切っている工藤監督、そして鷹のピッチングスタッフは「代え時」とみて左の丸に対し、左腕の嘉弥真をワンポイントで投入。空振り三振に斬って落とすと、さらには高橋礼へとバトンを引き継がせて得点を許さなかった。
はっきりと言えば、ここで勝負の行方は決まった。この回で反撃ムードが最高潮に達しかけたジャイアンツとしては最終的に満塁としながらも1点すら取れなかったことで、奈落に突き落とされたような感覚になったはずだ。短期決戦の戦い方を熟知している工藤監督の采配の妙を見た気がする。
(本紙専属評論家)
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