
新時代のカップル誕生だ。フィギュアスケートのNHK杯(大阪・東和薬品ラクタブドーム)のアイスダンスで、今年から同種目に挑戦中の高橋大輔(34=関大KFSC)が、平昌五輪代表・村元哉中(かな=27、同)と組んで公式戦デビュー。大会初日(27日)のリズムダンスで64・15点をマークし、3組中2位発進した。圧倒的な経験不足を感じさせない上々の船出となり、“大ちゃん”がアイスダンスの既成概念を崩す可能性も出てきた。いったい、どういうことか。
仲良く手をつないで氷上に現れた新カップル。演技前から大きな注目を集めた2人の姿は、テレビで生中継されたが、アイスダンスでは異例の出来事だった。
1番滑走の2人は銀盤に対峙し「落ち着いて」「楽しもう」と声を掛け合った。高橋は1990年代のコメディー映画「マスク」をモチーフにした白シャツにネクタイ、黄色のパンツの衣装に身を包み、ステップやターン、ツイズルなどをそつなくこなした。シングル時代にはないコミカルな動き、多彩な表情を見せて新たな世界観を創造した。
演技後に「少し取りこぼしがあったけど上出来」と満足した高橋に対し、村元は「100点です」と最高の評価。この初演技を専門家はどう見るか。アイスダンスで全日本選手権4連覇(2003~06年)の実績があり、トリノ五輪代表の渡辺心氏(49)は出場3組の映像をチェックした上で「短期間でここまで揃えたのは本当にすごい。今の時点でこれ以上の演技はできないくらい上出来だと思います」と絶賛。シングルで世界の頂点を取った高橋については「足首が柔らかく、やっぱりスケートがうまい。さすがだと思います」と舌を巻いた。