追悼・古賀稔彦さん 記者の〝プロレス的思考〟は笑顔で見抜かれた

 古賀稔彦さんの訃報にショックは大きい。記者にとって思い出があまりに多すぎるからだ。

 高校時代にテレビの中で見た古賀さんは、団体戦で100キロ以上ある巨漢に小内巻き込みを決めて快勝。当時、柔道をやっていた少年は誰もが憧れる「三四郎」だった。

 古賀さんがまだ現役ばりばりだったころ、プライベートの出来事を記事化したため、一時は険悪な関係になった。会見に出席すると、畳の上と同じ鋭い目つきでにらまれ、思わず目をそらした記憶がある。

 その後に全く会話をしてもらえなかったが、ある日のこと、どうしてもうかがいたい話があり、意を決して古賀さんを〝出待ち〟した。張り詰めた空気を感じながら、待つこと数時間。古賀さんが出てきた。「ごぶさたしております」と声をかけると、驚いたのも一瞬に満面の笑み。「おー、どうしたの? 久しぶりだね~」と取材に応じてくれた。あの時の鋭い目つきはすっかり忘れたかのように、いつもの明るい古賀さんがいた。

 最後にお会いしたときの会話もそうだった。

 古賀さん「久しぶり。最近は何してるの?」

 記者「今はプロレスのほうに…」

 古賀さん「今じゃないでしょ、昔からずーっと、プロレス。(東スポは)プロレスだもんね!」

 取材における東スポ記者独特の〝プロレス的思考〟はすっかり見抜かれていたようだ。古賀さんの笑顔に引き込まれ、記者も大声で笑ってしまった。

 ストイックな柔道への姿勢と対照的に、気さくな素顔。柔道界に〝古賀信者〟が数多いのもうなずける。もう一度お会いして、お話ししたかった。合掌。

(運動部デスク・初山潤一)

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