
リオデジャネイロ五輪の最終選考会を兼ねた体操の「全日本種目別選手権」は5日、東京・代々木第一体育館で男女各種目の決勝を行い、男子は日本代表5人が決定した。すでに代表に内定している内村航平(27=コナミスポーツ)、加藤凌平(22=同)を除く3人は田中佑典(26=同)、山室光史(27=同)、白井健三(19=日体大)。中でも、五輪初出場を決めた白井はリオで台風の目となりそうだ。
やはり今大会で最も注目を集めたのは白井だった。まずは、冒頭の床運動。後方宙返り3回半ひねりから前方宙返り2回ひねりをピタリと止め、続くリ・ジョンソンへとつなげる。その後も華麗な技を惜しみなく披露した後、最後の後方宙返り4回ひねりをほぼ止め、異次元ともいえる一連の演技をやってのけた。得点は何と16・650点。ぶっちぎりの優勝だ。
「床は気持ちよく演技ができてうれしい」と話した白井。次に出場したのは、新技「伸身ユルチェンコ3回半ひねり」を見せるかもしれない跳馬。前日の予選では「会場練習した感覚と、床からの流れでやるかどうか決めたい。危ないと思ったらやめる」と慎重な姿勢を見せていたが、体操関係者や観客からの期待は高い。
会場の熱視線を集める中での1本目。疾走して踏み切り台を踏んだ瞬間、跳んだのは、やはりこの新技だった。残念ながら、明らかなひねり不足で3回転になってしまったものの、果敢にトライした姿に惜しみない拍手が送られた。得点は15・100点をマーク。そして2本目は新技を回避し、ドリッグス(伸身カサマツとび1回半ひねり)でまとめて、14・900点だった。終わってみれば5位という順位だったが、五輪本番で新技を成功させれば、またも「シライ」の名を冠した自身の技が認定されることだろう。
日本代表にも順当に選出された白井は「今大会はレベルの高い戦いで自信になりました。頼りがいのある先輩もいるし、団体優勝という目標を目指して頑張りたい」と目を輝かせた。
この調子でいけば種目別床運動と跳馬で金メダル、さらには新技認定、そして昨年の世界選手権で優勝したように団体戦でも大いに貢献するに違いない。若き19歳がリオの地で大暴れしそうだ。