島根女子大生惨殺事件(2009年11月)で本人死亡のまま書類送検された会社員・矢野富栄容疑者(33=当時)は、遺体発見の2日後に事故死する直前まで、当時流行していたSNS「mixi(ミクシィ)」を更新していた。今月19日に削除されるまで放置状態だった矢野容疑者のミクシィからは“孤独な猟奇殺人鬼”的な、おぞましい本性が垣間見える。
矢野容疑者は山口県下関市出身。クリーニング店を営む家庭に育った。ネット上では、在日外国人説が飛び交っているが「祖父母の代から日本人」とは実家周辺住民。大学中退後は地元でフリーターをし、首都圏にいた時期もあったという。
ドラムやピアノを演奏するバンドマンもしていた。ミクシィのプロフィル欄にはビジュアル系アーティスト風の自撮り写真を載せているが「26歳の頃のものです。釣りで掲載してます」と“詐欺画像”だと自白。「最近は黒髪・短髪、日焼けしてる上にかなり太ってしまった為、見た目は別人です。友人から『中に丸太が入ってるやろ?』と指摘されました」とつづった。
「とりあえず、何でもいい。メッセージをくれ。話はそれからだ!!」と始まる自己紹介には「警告」として「来る者は拒まず 去る者は 地獄の果てまで 追って行きます 声をかける際は心して下さい」。粘着質な性格がうかがえる。
プロフ欄によると、25歳のころ「ジストニアが発症。左手での細かい作業が出来なくなりました」と告白。ジストニアは筋肉が動きにくくなる難病で、本人は楽器を激しく演奏したことが原因としている。
難病でドラムは挫折したが、音楽好きは変わらず。プロフ欄の好きな音楽には「ラルクとかルナシー」「槇原敬之、さだまさし」とある。「カラオケで『男闘呼組の『Daybreak』をきれいにハモって歌える人募集中です」とも。音楽ジャンルは幅広く、カラオケが趣味だったようだ。
好きな本として真っ先に挙げているのが「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」。前者は遺体に焼き印、後者は古い人体図に似せた遺体が見つかるシーンが出てくる。この猟奇サスペンス小説2冊に影響された可能性もある。なぜなら、被害者・島根県立大1年平岡都さん(19=当時)の遺体はバラバラで、焼け焦げた痕があり、内臓がえぐられるという凄惨なものだったからだ。
また、肉体が飛び散る「北斗の拳」を何度も加工した“MADムービー”のリンクを投稿したり「(北斗の拳は)蘇生率が低い」と作品性に触れたりもしていた。
日記では2009年5月、フリーター生活からソーラーパネル会社に就職したことを報告。「太陽光発電システムの設置に協力してくれる家庭を探して、毎日そこらじゅうをゾンビのごとく徘徊してます」と、自らをゾンビに例えていた。
関係者によると、実は優秀な営業マンで、着実に成果を上げ、同年夏前、下関の本社から島根県益田市の営業所へ転勤となり、一人支店長として住宅地をくまなく訪問販売していたという。
地元の下関を離れたことで友人は少なく、このころから孤独を感じ、まだ見ぬ“マイミク”女子たちと絡んで楽しむようになったようだ。だが「恋人募集中です」「出会い目的の方もいらっしゃいな★」と出会いを求めるも反応は薄く、女っ気のない淡々とした日常の記録が残されている。
そんななか、事件1か月半前の9月12日、猟奇性が感じられる投稿もした。スーパーで牛肉ステーキのパックに「牛の死体」とシールが貼ってあるバカ画像をネットで拾い、異様な関心を示し、写真紹介している。「おおまかな意味でまちがってはいないと思う…」というコメント付き。
最後のミクシィ書き込みは、平岡さんが行方不明になった6日後の11月1日午後7時28分だった。「一般家庭の消費電力の実態について調べています」などと仕事に応用するアイデアを募った。犯行後も平静を装う心理は異常としか言いようがない。
島根女子大生惨殺犯の猟奇的SNS 書き込みに見える心の闇
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