
フィギュアスケートの全日本選手権(大阪・東和薬品ラクタブドーム)が22日に開幕した。苦しいシーズンを送っている浅田真央(26=中京大)は24日の女子ショートプログラム(SP)に向け封印していたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の投入に意欲を見せた。世界選手権(来年3~4月、ヘルシンキ)などの代表選考を兼ねる今大会はシーズン後半戦に向けての正念場。元世界女王は復活できるのか。
「練習で一度でも跳べたら跳びたい」。22日に公式練習を行った真央は左ヒザ痛の影響で封印してきたトリプルアクセルの解禁を示唆した。
今季は過去にない苦戦が続いている。グランプリ(GP)シリーズ初戦となったスケートアメリカ(10月)で6位。表彰台を逃すと、GP2戦目のフランス杯(11月)は9位と惨敗し「自信がすべて失われた」と涙を見せた。
休養中だった2014―15年シーズンを除けば、5季ぶりにGPファイナル進出を逃した今シーズン前半戦について「技術、体、気持ちが揃うことがなかった」と振り返った。その上で「今はすべてが上がってきている。いい状態で臨めると思う」。復調の手応えを感じているからこそ“伝家の宝刀”を実戦投入するのだ。
その一方で、この日の発言には進退をかけたかのような悲壮感も漂った。「好きで戻ってきたスケートなのでいい演技をすることを大事にしたい」。悔いなく終わりたいという意味にも取れる言葉だ。
また「今は次を考えるより、全日本に集中しています」と話したが、今大会は世界選手権、冬季アジア大会(来年2月19日開幕、札幌)、四大陸選手権(来年2月15日開幕、韓国・江陵)の代表選考会を兼ねている。代表の座を逃せば、今シーズンは事実上終了。本人の意思にかかわらず、周囲が騒がしくなるのは間違いない。