【金正男氏殺害事件】中韓が“悲劇のプリンス”争奪戦

【金正男氏殺害事件】中韓が“悲劇のプリンス”争奪戦
金正男氏(ロイター)

 北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏(45)がマレーシアの空港で殺害されたことで、“悲劇のプリンス”になった長男のキム・ハンソル氏(21)の動向が注視されている。亡父の異母弟・金正恩朝鮮労働党委員長から命を狙われる一方、韓国や中国からはポスト正恩氏、“統一朝鮮の顔”との期待が寄せられている。なぜ正恩氏ではなく、ハンソル氏なのか。そこには“白頭(ペクトゥ)血統”という血統の正統性があった。

 マレーシアの保健省は21日、正男氏の遺体が安置されている病院で会見し、死因はいまだ調査中とした上で、遺体の引き渡しを申し出ている遺族はいないとした。

 遺体を巡っては、北朝鮮が引き渡しを要求している一方、複数の韓国メディアは、正男氏の長男ハンソル氏が20日にマカオからマレーシアに入り、マレーシア軍の特殊部隊に紛れて、遺体と対面したと伝えていた。

 DNA鑑定を行った上で、ハンソル氏が遺体を引き取るとなれば「名実ともに北朝鮮のロイヤルファミリーの血筋を証明し、後継者と宣言するのと同じ」と話すのは北朝鮮ウオッチャー。

 正男氏は北京に在住する最初の妻(本妻)のシン・ミョンヒ氏との間に息子のクムソル氏がいる。ハンソル氏はマカオに在住する第2夫人のリ・ヘギョン氏との間に生まれ、妹のソルヒ氏がいる。クムソル氏はハンソル氏より年下になる。

「韓国や北朝鮮の儒教思想では、家督は長男が継ぐのが原則で、本妻も第2夫人も関係なく、ハンソル氏が長男となる。金日成国家主席の血を継ぐ者は、金日成が(抗日戦で)決起した白頭山になぞらえ、“白頭血統”といわれ、故金正日氏の三男である正恩氏より、正男氏の長男であるハンソル氏の方が指導者としての正統性が高い。要は格が全く違うということです」(前出のウオッチャー)

 正恩氏は、この白頭血統にすさまじいコンプレックスがあるといわれる。

 拓殖大学客員研究員で元韓国国防省北朝鮮分析官の高永チョル氏は「金正恩の母親である高英姫(故人)は日本生まれの在日です。ですから金正恩は白頭山の血統ではなく、“富士山血統”といわれているほど」と指摘する。正男氏同様、ハンソル氏にも強い敵意を抱いているわけだ。

 この北のロイヤルファミリーの血を受け継ぐハンソル氏には、韓国国内で同情論が巻き起こっている。政治には無関心を装った正男氏に対し、ハンソル氏は欧州で育ち、SNSで自由に情報発信したり、耳にピアスをつけるなど共産主義に毒されてはいないとされる。

 正恩氏を「独裁者」と呼んでいたハンソル氏の過去発言は、韓国国内では再び喝采を浴び、「なぜ何も悪くない彼が命を狙われないといけないのか」「韓国が身を守るべき」と評価がうなぎ上りだ。

 韓国内では北朝鮮からの脱北者を中心とした亡命政府構想がある。ハンソル氏が将来の夢として南北統一を挙げていたこともあり、統一国家が樹立した暁には、トップに担ぎ出すべきとの待望論まで飛び出している。

 ハンソル氏の身辺を保護している中国側も正男氏を失った今、対北朝鮮のカードとしてハンソル氏を死守する必要がある。

「中国は北朝鮮の若手将校にクーデターを促していたともいわれています。ハンソル氏が親中国の指導者として北朝鮮入りするのを視野に入れており、絶対に手放すことはないでしょう」(高氏)

 ハンソル氏が脚光を浴びれば浴びるほど、正恩氏にとっては面白くない状況になるだけに、父の正男氏同様に暗殺される危険性は、より一層高まるともいえる。

 果たして、ハンソル氏は悲劇のロイヤルファミリーになってしまうのか、それとも未来の希望になるのか――。

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